米国フロリダ州マイアミの大規模医療システムにおける Candidozyma auris(旧称カンジダ・オーリス[Candida auris])に対する電子入院時スクリーニングツールの開発および実施★
Development and implementation of an electronic admission-screening tool for Candidozyma auris (formerly Candida auris) at a large healthcare system in Miami, FL, USA A. Jimenez*, R. Rosa, N. Jean, A. Flanagan, K. Manzanillo, G. Rosello, L.M. Abbo *University of Miami Health System, USA Journal of Hospital Infection (2026) 167, 16-22
目的
Candidozyma auris(旧称カンジダ・オーリス[Candida auris])は、緊急の対応を要する世界的な公衆衛生上の脅威となる微生物である。本稿では、米国フロリダ州マイアミの大規模医療システム内の全施設への入院時に、全患者に対して C. auris に関連するリスク因子のスクリーニングを行うことを目的とした電子質問票の使用および実施について記述する。
方法
スクリーニング質問票を、電子カルテ(EMR)の一環として、すべての患者の入院時に実施することとして導入した。本ツールでは、C. auris 保菌のリスク因子について以下のような質問をした:C. auris の既往歴、過去 12 か月間における米国以外の病院での入院、入院時の気管切開または機械的換気の有無、C. auris のリスクが高い医療施設からの転院、またはカルバペネマーゼ産生微生物の検出歴。質問票の回答を受けて、PCR を用いた C. auris 保菌検査、ならびにリスク(複数の場合も含め)を有すると同定された患者に対する接触予防策を開始した。
結果
12 か月の期間にわたり、本質問票を入院 83,046 件に対して実施した。これらのうち 4,401 件(5.3%)では、C. auris 保菌のリスク因子が一つ以上認められた。検査を行った入院のうち、166 件(6.1%)が PCR 陽性であった。全有病率は 0.20%であった。質問で尋ねたリスク因子のうち、最も陽性率の高かったのは「他の医療施設からの転院」(4.5%)であり、陽性のリスク因子を有する場合に PCR で最も陽性率が高かったのは「多剤耐性微生物の感染または保菌の既往歴」(16%)であった。
結論
電子カルテの一環として実施するスクリーニング用質問票は、C. auris 保菌のリスクを有する患者を検出するうえで効果的な方法であり、したがって医療施設における伝染性の高い微生物の水平拡散を回避することを目的とした微生物感染予防・制御(IPC)策の早期導入を促進する。
監訳者コメント :
本菌は Candida auris とこれまで呼ばれていたが、Candidozyma auris(C. auris)となっている。実は Candida 属は形態学的に酵母用真菌の雑多な集まりであることが近年の分子系統学的再検討により明らかとなり、その結果C. aurisはカンジダ属の代表であるC. albicans とは遠縁であり、分子レベルからCandidozymaに分類された。本真菌は感染力も強く、生命を脅かす感染症を免疫低下患者や重症患者に引き起こすとともに、抗真菌薬にも耐性であり、CDC も WHO のみならず日本を含む世界で緊急対応の必要な多剤耐性真菌として位置づけられている。本論文では、他院からの転院が最も高い陽性率であることを考えると、フロリダではすでに感染拡大していることがうかがわれ、本システムが有効に感染対策の早期導入のきっかけとなり、感染拡大がうまく防止できることを期待する。
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