病院環境における高頻度接触表面の微生物バイオバーデンを減少させることを目的としてデザインされた銅に基づく新規の抗菌表面コーティングについての in vitro および in situ での解析★
In vitro and in situ analysis of novel copper-based antimicrobial surface coatings designed to reduce the microbial bioburden of high-touch surfaces in a hospital environment G. Ackers-Johnson*, J.M. Lewis, P. Killen, V. Bellido-Gonzalez, L. Maroto-Diaz, D. Monaghan, J. Eite, R. Spencer, A. Yunus, D. McLaughlan, A. Doyle, T. Neal, S. Todd, A.P. Roberts *Liverpool School of Tropical Medicine, UK Journal of Hospital Infection (2026) 169, 115-122
背景
医療関連感染においては、病院環境が極めて重要な役割を果たす。これに対処するための現在のクリーニングプロトコールは、費用がかかり、多大な労力を必要とする。さらに、コンプライアンス、効率、洗浄剤の環境への影響に関係した厄介な問題もある。
結果
我々は、高い抗菌活性を示すナノ構造のコーティングである iC-nanoTM を開発した。評価した重複のない 73 個の製剤は、in vitro で幅広い活性を示した。最も良かったコーティングは、15 分以内に高い活性を示し、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)を除くすべての ESKAPE(e) 病原体に対して等しく有効であった。E. faecium は、接触時間を増やす必要があった。
活動中の病院環境内での解析では、効果量の推定にはいくらか不確実性があったけれども、コーティングした表面から回収されたコロニー形成単位(cfu)が 44%減少していたことが分かった(1.77 倍[95%信用区間{CrI}、0.98、3.13])。最も高い数値がトイレの出口で観察された一方で、水曜日に採取された検体の cfu は、月曜日の cfu よりも 45%も少なかった(0.55 倍[95%CrI、0.32、0.91])。コーティングの耐久性と抗菌活性は安定していたが、重要な懸念が 1 つあった、それは、製品の見栄えで、継続的に使用するとしみがついたような外観になった。これは行動の変化につながる可能性がある。
結論
この研究で、抗菌表面コーティングの持つ可能性には期待できることがはっきりと示された。これからの介入は、クリーニングプロトコールの強化にしろ、特殊なコーティングにしろ、観察された回収可能な微生物バイオバーデンが最大であったトイレのドアハンドルのような部位に最初は集中すべきであることを、我々は提案する。逆に、患者のチェックインスクリーンは、観察されたヒトとの相互作用が最小限であったので、優先順位はそれより低いと考えられる。
監訳者コメント :
ESKAPE 病原体に対する新規抗菌表面コーティング技術が紹介されている。抗菌表面コーティングの有効性および医療関連感染との関係を実証するためには、長期間の研究が必要である。
※『ESKAPE』とは?:『ESKAPE』とは、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、エンテロバクター属(Enterobacter spp.)の 6 種類の細菌の頭文字を組み合わせた造語。これらの細菌は多くの抗菌薬に対して耐性を持つ「多剤耐性菌」であり、特に重症な医療関連感染症の原因となる。
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