多剤耐性病原体(MDRO)の保有者を支援するための非薬理学的介入:システマティック文献レビュー★

2025.10.05

Non-pharmacological interventions designed to support carriers of multi-drug-resistant organisms (MDROs): a systematic literature review

S. Gaube*, M. Pan, A. Rath, A. Caplunik-Pratsch
*University College London, UK

Journal of Hospital Infection (2025) 164, 114-124

背景

多剤耐性病原体(MDRO)の保有者は、スティグマ、不安および不確かさを経験することが多い。その多くは十分な情報を得ていないと感じており、そのために苦痛や不満足を経験することになる。

目的

情報に対するニーズおよび心理的ニーズを有するMDRO 保有者を支援するための非薬理学的介入に関する研究を評価すること。

方法

本システマティック文献レビューは PRISMA ガイドラインに従って、2000 年 1 月から 2024 年 10 月の期間を対象に MEDLINE、EMBASE、PsycINFO の検索を行った。さらに、包括的な引用検索を行って介入を同定した。研究の特徴、介入の種類、およびアウトカムに関する所見をナラティブ形式で総合し、介入の実施における報告された課題および検討事項についてテーマ分析を行った。

結果

同定された研究は 4 件のみで、参加者計 238 例が対象であった。すべての介入が教育の要素を含んでおり、1 つの介入は感情的支援の要素を組み込んでいた。介入は、MDRO 保有者における知識、健康状態(well-being)および行動面のアウトカムの改善を目的としていた。教育は、知識、必要な情報が得られていることの認識、および満足度に関連していたが、行動面のアウトカムおよび健康状態に関する結果は一貫していなかった。実施における課題には、資源の制限、臨床ワークフローへの統合、持続可能性、および医療環境のばらつきなどが含まれた。

結論

本レビューの主要な結果は、MDRO 保有者の非医学的ニーズにどのように対応すればよいかに関する研究が、驚くほど少ないということである。限られた利用可能なエビデンスから、教育および感情的支援の介入が有益となり得ることは示唆されるが、方法論的な欠陥のためにこれらの結果の一般化可能性は限られる。本レビューは、MDRO 保有者の経験を改善するためには、頑健で拡張可能な、患者中心の介入が緊急に必要であることを浮き彫りにしている。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

MDRO 保菌者への感染対策についての報告は多数存在するが、保菌者への支援を目的とする非薬理学的介入の研究は不十分でである。接触隔離は感染予防対策において不可欠であるが、有害な健康転帰や患者満足度低下をもたらすことがわかっている。結果的に保菌者自身の不安や、患者への差別や偏見を生み出すこととなる。この分野についての更なる研究と研究結果にもとづく対応策が必要である。

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