新しいペルオキシ一硫酸カリウムベースの消毒薬の殺菌効果の検討★
Exploring the bactericidal efficacy of a new potassium monopersulphate-based disinfectant P.P. Barbosa*, D.M. Leme, N.G. Motta, W.L.E. Magalhães, J.L. Proenca-Modena, J-Y. Maillard *Cardiff University, UK Journal of Hospital Infection (2025) 162, 232-240
背景
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)は、病院感染の原因となる、一般的な病原体である。いずれの菌種も乾燥後の表面で生存して乾燥表面バイオフィルム(DSB)を形成することができ、このことが消毒過程を複雑にしている。
目的
浮遊性および固着性の黄色ブドウ球菌および肺炎桿菌の両方に対する、革新的なペルオキシ一硫酸カリウムベースのナノテクノロジー製剤(MPS)の有効性を評価すること。
方法
ペルオキシ一硫酸カリウムベースの MPS の殺菌効果を、次亜塩素酸ナトリウムおよび塩化ジデシルジメチルアンモニウムを比較対照として検査した。評価は、浮遊性の細菌、水和バイオフィルム、および乾燥表面バイオフィルムに対して、標準的な浮遊試験および浸漬試験を用いて行った。走査型電子顕微鏡により、目視できる構造障害を確認した。
結果
ペルオキシ一硫酸カリウムベースの MPS(2% w/v)は、肺炎桿菌に対して、検査プロトコールにかかわらず、短い接触時間で 4 log10 以上の減少を達成した。黄色ブドウ球菌は抵抗性がより高かったが、4 log10 の減少の達成に必要な接触時間が、拭き取りの導入により15 分から 5 分へと短縮した。走査型電子顕微鏡分析では、いずれの菌種においても、ペルオキシ一硫酸カリウムベースの MPS で処理後、目視できる構造障害が認められた。検査したその他の消毒薬も殺菌性を示し、水和バイオフィルムに対する塩化ジデシルジメチルアンモニウムを除き、1 ~ 5 分以内に 4 log10 以上の減少を達成した。
結論
ペルオキシ一硫酸カリウムベースの製剤は、有効な殺菌薬であることが示され、DSB に対しても有効であった。この製剤の有効性は、医療の場で一般的に使用される他の殺生物薬と比較して良好であり、また、この製剤は生分解性を有することから、さらなる開発の有望な候補である。しかし、実践に適用するには、ペルオキシ一硫酸カリウムベースの MPS の有効性を高めるために、機械的除去の過程の最適化が不可欠であろう。
監訳者コメント :
新しいペルオキシ一硫酸カリウムベースの消毒薬の効果を既存の次亜塩素酸ナトリウムおよび塩化ジデシルジメチルアンモニウムと比較した研究である。本文を見ると黄色ブドウ球菌の消毒で既存の 2 つの消毒薬と比べると効果は若干落ちる結果となっているが、その結果の考察として既存の消毒薬は通常使用する濃度以上で使用したためという記載があり、既存の消毒薬と比較するのであれば日常的に使用する濃度で比較するべきである。しかしながらペルオキシ一硫酸カリウムは可能性を秘めた環境用の消毒薬であり、今後のさらなる研究が望まれる。
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