病院における環境衛生サービスのモニタリングを行うためのツールおよび戦略★★

2025.05.16

Tools and strategies for monitoring hospital environmental hygiene services

S. Gastaldi*, D. Accorgi, F. D’Ancona
*Istituto Superiore di Sanità, Italy

Journal of Hospital Infection (2025) 159, 52-61

背景

病院環境は、医療関連感染症の重要な感染源であり、効果的な洗浄の実践によってリスクを低減する必要がある。そのモニタリングのために、様々なツール、たとえば蛍光マーカー、ATP アッセイ、微生物学的方法、ならびに直接観察法などが用いられているが、それらを比較した有効性については不明である。

目的

様々なモニタリング法の同定および評価を行い、医療施設に対してエビデンスに基づいた推奨事項を提供すること。

方法

本スコーピングレビューは、Joanna Briggs Institute のガイドラインおよび PRISMA-ScR の標準に従った。2000 年から 2024 年に発表され、病院清掃サービスのモニタリング用ツールに焦点を当てた文献を、PubMed、Web of Science、および Google Scholar で検索した。研究 20 件を組み入れ、標準化したデータ抽出法を用いて解析した。

結果

蛍光マーカーと ATP アッセイは、ルーチンのモニタリングと訓練において実用的であったが、微生物汚染の検出には限界があった。微生物学的方法では正確度の高い汚染データが得られたが、多くのリソースが必要となった。直接観察法では、スタッフの遵守状況におけるギャップが明らかになったが、観察者バイアスの影響を受けやすかった。複数の研究が、評価基準、洗浄清掃時間、およびリソースの配分におけるばらつきを報告しており、常勤換算に関するデータは限られていた。たとえば人工知能(AI)や IoT(訳注:インターネット接続による機器からの情報収集・分析・制御する技術)などのデジタル技術は、リアルタイムのモニタリングおよび最適化を提供する可能性がある。

結論

効果的なモニタリングとして、視認、ATP アッセイ、および微生物学的方法の併用が推奨される。リソースの格差に取り組み、環境衛生実践を改善して、最終的に患者の安全を高める目的で、最新の技術を含めてグローバルスタンダードを確立するには、共同で取り組むことが必要とされる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

医療施設における環境衛生管理は、感染対策上極めて重要で、さまざまな教育と訓練、さらに蛍光マーカー、ATP 生物発光、微生物培養、直接観察など様々なモニタリングの方法が実施され、感染予防対策の状況把握がこれまで試みられてきている。各手法においてはメリットとデメリットを考慮しその状況にあわせて選択することに加えて、AI(※人工知能 Artificial Intelligence のことでコンピュータがデータを分析し、推論や判断・最適化提案・課題定義や解決し学習などを行う人間の知的能力を模倣する技術)や IoT (※Internet of Thingsすなわち「モノのインターネット」とは、あらゆるモノをインターネットあるいはネットワークに接続する技術の技術)を駆使して、環境衛生管理を実施してゆくことになるが、将来的には国際的な標準化が期待される。

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