手術室環境の外で看護師が行う無菌操作の目的についてコンセンサスはあるか?フォローアップ研究日を伴うデルファイ調査★★
Is there consensus for the aims of aseptic technique undertaken by nurses outside operating theatres? Delphi survey with follow-up study day C. Hawker*, D. Gould, E. Purssell, N. Drey, R. Gallagher, G. Oxley-Smith, C. Fellows, K. Ormandy, J. Hines *Cardiff University, UK Journal of Hospital Infection (2026) 171, 53-59
背景
無菌操作は、感染予防にとって極めて重要であるが、国際ガイドラインにおいて明確に定義されていない。実践における推奨事項には一致が見られない。
目的
無菌操作の目的についてコンセンサスがあるのか否かを、または手術室環境の外で看護師が無菌操作をいかに行うかについて確立すること。
方法
2回のラウンドおよびフォローアップ研究日 1 日によるオンライン修正デルファイ調査。
結果
本研究の参加者によれば無菌操作は可能性のある病原体の伝播を予防するために必要であり、処置を受ける患者を保護することを主たる目的として行われ、リスクアセスメントの前に実施すべきであり、滅菌された物品のみを無菌区域に入れたり、汚染されやすい部位に接触させるべきである。リスクアセスメントを行うためには、患者と場所に関する情報が必要と見なされている。無菌操作の目的が、他の患者や医療従事者を保護することであるのか否かについて、また無菌操作があらゆる環境で可能であるのか否かについて、そして個人防護具の適切性について、コンセンサスはない。フォローアップ研究日の所見から、本研究の参加者は患者および環境に関する基礎的情報を提供されればリスクアセスメントを行えることが示唆される。リスクアセスメントの結果は、処置が行われる場所、過去の経験、および処置の侵襲性に関する認識による影響を受ける。侵襲性が高いと考えられる処置と、よりリスクが低いと認識される処置との間に区別がなされている。
結論
看護師は、無菌操作に関する主要な論点の、すべてではないがそのいくつかに同意している。無菌操作を行うという決定は、場所、経験、および処置の侵襲性についての認識に依存しているようである。無菌操作の理解および実践における一貫性を高めるためには、その教育、実施、および監査にさらなる焦点を当てる必要がある。
監訳者コメント:
「手術室外で看護師が実施する無菌操作の目的について、専門家の間で共通認識が存在するのか」を検討した研究である。医療現場では多くの処置で無菌操作が求められるが、その目的は必ずしも明確ではない。例えば、末梢静脈カテーテル挿入時に滅菌手袋を使用する施設もあれば非滅菌手袋を使用する施設もあり、いずれも「無菌操作」と説明されることがある。
本研究では、無菌操作の目的として「病原微生物の伝播を防ぐこと」に高い合意が得られた。特に、患者の重要部位(key sites)や医療器材の重要部分(key parts)の汚染防止が重視された。一方で、「完全な無菌環境の維持」や「完全な無菌状態の実現」については十分な合意が得られなかった。これは、病室や外来、在宅医療など手術室外の環境では完全な無菌状態を実現することが現実的ではないためである。
本研究の重要なメッセージは、無菌操作を手順ではなく目的で捉えることである。すなわち、「滅菌手袋を使用しているか」ではなく、「key site や key part を汚染から守れているか」が本質となる。日本でも清潔操作や無菌操作の解釈には施設間で差があり、本研究は手技中心ではなくリスクベースの教育や評価の重要性を示している。
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