院内病原体は無生物表面にどのくらいの期間存続するのか?スコーピングレビュー★★
How long do nosocomial pathogens persist on inanimate surfaces? A scoping review L. Porter*, O. Sultan, B.G. Mitchell, A. Jenney, M. Kiernan, D.J. Brewster, P.L. Russo *Cabrini Health, Australia Journal of Hospital Infection (2024) 147, 25-31
医療衛生は、医療関連感染症の予防にきわめて重要な役割を果たす。以前の占有者が多剤耐性菌感染者であった病室に入院する患者では、同じ細菌の保菌および感染のリスクが高い。Kramer らによる 2006 年のシステマティックレビューでは、一部の病原体は乾燥表面で数か月間生存しうることが見出された。本レビューでは、Kramer らの以前のレビューを更新し、医療環境に関連のある病原体の生存に関する最新データを提供する。Ovid MEDLINE、CINAHL および Scopus データベースにおいて、環境中のよくみられる院内病原体の生存期間を報告した研究を系統的に検索した。本レビューの対象とした病原体は、細菌、ウイルスおよび真菌であった。研究は、事前に定めた選択/除外基準に照らして、2 名の研究者が独立してスクリーニングした。不一致は 2名の上級研究者のうち 1 名が解決した。データ抽出のためのスプレッドシートを作成した。検索により 1,736 件の研究が特定された。重複を除外し、検索基準を適用した後、組み入れた研究 62 件の結果を統合して検討した。117 の微生物が報告された。報告された微生物のうち生存期間が最も長かったのは肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)であり、600 日間存続したことがわかった。感染予防・制御と関連のあるよくみられる病原体は、無生物表面で数か月間生存または存続する可能性がある。このデータは、「バンドル」アプローチに取り入れた場合に有効であることが証明されている適切な訓練、監査およびフィードバックとともに、清掃および消毒実践へのリスクに基づくアプローチが必要であることを裏付けている。
監訳者コメント:
SARS-CoV-2 でも 2020 年初頭に New England Journal of Medicine に、プラスチック表面や段ボール表面でのウイルス生存期間が報告され、長く接触感染の判断根拠として引用されている。一方で微生物の無生物表面における感染性は様々な要因により左右されることも知られている。この領域では従来 2006 年の Kramer らの論文がランドマーク論文とされてきた。本論文はその内容を更新することを目的として執筆されたということで、フルテキスト中の微生物とその感染期間に関する表は、これから多く引用されるであろう。感染領域に従事する者には必読論文といえる。
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