高リスククローン肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)ST15 のサーベイランス、検出、モニタリング用の診断ツール★
Diagnostic tool for surveillance, detection and monitoring of the high-risk clone K. pneumoniae ST15 E. Gato*, B.K. Rodiño-Janeiro, M.J. Gude, F. Fernández-Cuenca, Á. Pascual, A. Fernández, A. Pérez, G. Bou *Institute for Biomedical Research of A Coruña (INIBIC), Spain Journal of Hospital Infection (2023) 142, 18-25
背景
肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)ST15 の世界的な広がりは、複数の大陸でアウトブレイクを引き起こしているが、クローン間での耐性遺伝子の移動に寄与し、抗菌薬耐性の危機を増強している。肺炎桿菌 ST15 に、その他の細菌を打ち負かし、流行を引き起こす能力をもたらすゲノムの特徴は、依然としてはっきりしない。
目的
診断検査を開発するために肺炎桿菌 ST15 に特異的なゲノムの特徴を特定すること。
方法
スペインの Hospital A Coruña で肺炎桿菌によるアウトブレイクが発生した。抗菌薬感受性分析と分子タイピング(PFGEとMLST)を実施した。各塩基配列型の分離株を 1 つ、全ゲノムシークエンシング解析のために選択した。ゲノムの比較分析を RAST を使って実施した。BLASTn を使い、fhaC および kpiD 遺伝子の存在を評価した。スペイン全国のコレクションからの肺炎桿菌 294 株を PCR で分析した。
結果
遺伝子型を決定したところ、検査した分離株の 87.5%が、独特の PFGE パターンの 1 つのクローンに属し、それが ST15 と一致した。様々な ST のゲノムの比較分析をすることで、肺炎桿菌 ST15 に特異的なゲノムの特徴を明らかにすることができた。接着に関係する 2 つのシステム(Kpi および KpFhaB/FhaC)が、このクローンに特異的なマーカーであった。kpiD と fhaC のオリゴヌクレオチドを使ったマルチプレックス PCR 分析では、肺炎桿菌 ST15 が、感度 100%、特異度 97.76%で特異的に検出されることが明らかになった。PCR の結果は、MLST や全ゲノムシークエンシングのデータと 100%の一致を示した。
結論
肺炎桿菌 ST15 は、その播種に有利に働く可能性のある特異的なゲノムの特徴を持っている。それらは、肺炎桿菌 ST15 を高い感度と特異度で検出するための標的として使える可能性がある。
監訳者コメント:
カルバペネム耐性肺炎桿菌はカルバペネマーゼ産生プラスミド保有クローンの拡大の大きな要因のひとつであり、KPC 型に加えて OXA-48 型のカルバペネマーゼ産生肺炎桿菌が欧州を中心に高頻度に検出され、ST-11、15、101、258/512 などのハイリスク・クローンと関連している。なかでも ST-15 は厳重な感染予防策にもかかわらず長期間にわたり急性期病院で持続的に検出されていることが報告されている。この ST−15 クローンが感染拡大に有利となるための接着に関するゲノムを本論文は特定しており、この遺伝子を PCR により早期に検出することで、より厳格な感染予防策をたてることができ、感染拡大防止につながる可能性がある。
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