抗菌薬マネジメントチームの適正使用支援活動に影響する因子:全国横断調査★
Factors influencing the stewardship activities of Antimicrobial Management Teams: a national cross-sectional survey
V. Ness*, J. Sneddon, R.A. Seaton, W. Malcolm, K. Currie
*Glasgow Caledonian University, UK
Journal of Hospital Infection (2022) 119, 1-8
背景
不適切な抗菌薬処方と世界的規模での抗菌薬耐性の脅威との関係は、すでに十分に報告されている。複数の国際的戦略では、抗菌薬適正使用支援プログラムを抗菌薬温存のための介入による改善とともに推奨している。
目的
本研究では、多職種から成る抗菌薬マネジメントチームのスタッフリソースの利用可能性が抗菌薬適正使用支援活動に及ぼす影響について、系統的に評価することを目的とした。
方法
スコットランドの各地域保健局および国立専門病院(N = 15)を対象に、オンラインで抗菌薬マネジメントチームに関する横断調査を実施した。得られた回答を記述的に分析し、パターンを特定するために変数間に観察される関係を探索した。
結果
結果として、抗菌薬マネジメントチームのリソースの利用可能性には、スコットランド全土で明らかなばらつきが認められ、これは保健局の規模による直接的な影響ではなく、一部の大規模な保健局では規模が大きいほど抗菌薬管理チームのリソースの配分が不十分であった。しかし、抗菌薬適正使用支援を行う活動の範囲および頻度は、保健局の規模とも、スタッフリソース配分とも直接には関係しておらず、因子間により複雑な相互関係があることが示された。
結論
スコットランド全土で抗菌薬マネジメントチームにおけるスタッフリソースの利用可能性に明らかな不均衡が認められ、他の複数の国際的研究による推奨と比較して、大幅にリソース配分が低かった。しかし、今回の調査結果を筆者らの以前の定性的調査と比較考慮すると、リーダーシップのスタイルおよびチームメンバーの熱心さが、抗菌薬マネジメントチーム活動の範囲に対して及ぼす影響は、リソースの利用可能性よりは大きくはないとしても同等である可能性が示される。筆者らの結果は、限りあるリソースの効果を最大化する目的で抗菌薬マネジメントチームの動員、訓練、および継続的なサポートを検討する病院医療管理者にとって、国際的な意義を有するものである。
監訳者コメント:
抗菌薬マネジメントチームのスタッフリソースの利用についてはスコットランドにおいても日本と同様にいくつかの課題を抱えている。人員の確保や多職種の活用が施設毎に異なっている、そして AMT 活動状況はそのチームの構成員の熱意に一部依存している部分もあるようである。日本では AMT 活動においては、薬剤師や医師の活動時間が限られており、十分な活動時間がないのが現状である。
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