ブラジルの集中治療室におけるコリスチン耐性およびコリスチン感受性カルバペネマーゼ(KPC)産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)によるアウトブレイク

2016.12.21

Outbreaks of colistin-resistant and colistin-susceptible KPC-producing Klebsiella pneumoniae in a Brazilian intensive care unit


I. Rossi Gonçalves*, M.L. Ferreira, B.F. Araujo, P.A. Campos, S. Royer, D.W.F. Batistão, L.P. Souza, C.S. Brito, J.E. Urzedo, P.P. Gontijo-Filho, R.M. Ribas
*Federal University of Uberlândia, Brazil
Journal of Hospital Infection (2016) 94, 322-329
背景
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)、特に肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)カルバペネマーゼ(KPC)を産生し、コリスチン耐性と関連する腸内細菌科細菌は、治療選択肢が限られているため、重大な医療上の脅威をもたらす。
目的
ブラジルの成人集中治療室 1 施設における KPC 産生肺炎桿菌による 2 件のアウトブレイクを報告すること。2015 年 5 月に患者 14 例でコリスチン感受性 KPC 産生株(ColS-KPC)が、2015 年 7 月に患者 9 例でコリスチン耐性 KPC 産生株(ColR-KPC)が検出された。
方法
2014 年 9月から 2015 年8 月の間に、大学病院 1 施設でサーベイランスを実施し、すべての CRE 株について blaKPC 遺伝子の有無を調べた。パルスフィールド・ゲル電気泳動法によりクローン性を調べた。コリスチン耐性は微量液体希釈法により確認した。カルバペネムおよびコリスチンの摂取量は 1 日規定用量として示した。
結果
全体で、サーベイランス期間中に CRE を保有する 111 例が同定され、肺炎桿菌が主要な分離株であった(77.13%)。感染率(1,000 患者日あたり KPC)が背景レベルを超えた時に、2 件のアウトブレイクが同定された。カルバペネムおよびコリスチンの摂取率は高かった。制御策(アルコールゲル剤のベッドサイド設置、接触予防策、定期的な直腸スワブ検査)によってもアウトブレイクは制御されなかった。死亡率は、ColS-KPC 感染患者で 42.9%、ColR-KPC 感染患者で 44.4%であった。ColR-KPC 感染患者 4 例の死亡後、当該病棟の入院受け入れを中止した。
結論
当院の経験から、ブラジルの成人集中治療室において KPC、特に ColR-KPC により重大なリスクがもたらされることが示された。抗菌薬の過剰使用による選択圧、および医療従事者の手指による伝播が、伝播の主要な要因であったと考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
コリスチン耐性 CRE の登場で、CRE の治療がさらに困難なものに成りつつある。新薬の開発とともに、抗菌薬の適正使用が重要となる。

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