小児集中治療における看護師主導の人工呼吸器関連肺炎サーベイランスの確立★★
Establishing nurse-led ventilator-associated pneumonia surveillance in paediatric intensive care
M. Richardson*, S. Hines, G. Dixon, L. Highe, J. Brierley
*Great Ormond Street Hospital for Children NHS Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2010) 75, 220-224
人工呼吸器関連肺炎の予防は、英国保健省が掲げる「命を救う(Saving Lives)」イニシアチブの対象の1つである。人工呼吸器関連肺炎の有病率および死亡率についての報告は成人では多いが、小児を対象とした研究は少ない。本稿では、患者の安全および医療関連感染減少に関する総合的な活動の一部である、看護師主導の人工呼吸器関連肺炎サーベイランスプログラムの確立について報告する。3次基幹病院の小児集中治療室に入室したすべての小児を対象として、4か月間の調査を実施した。人工呼吸器関連肺炎の定義は、挿管後48時間以降に発症した肺炎とした。診断基準は以下のとおりである。(i)画像診断:胸部X線で新規・進行性の浸潤像、硬化像、または空洞化像が認められることに加えて、(ii)臨床的診断:新たな膿性気管支分泌、白血球減少症または白血球増加症、他に原因がない38.5℃以上または36℃以下の深部温(core temperature)、呼吸器分泌物培養強陽性、またはその他の感染症関連部位の培養強陽性のうち、3つ以上に該当すること。人工呼吸器関連肺炎が疑われる患者の病棟看護師による調査を支援するために、フローチャートと研修プログラムを作成した。データを収集は、担当看護師が抜管24時間後または退院・死亡まで、連日深夜に行った。人工呼吸器関連肺炎が疑われる症例は、感染制御部門に照会して二次検証を行った。4か月間で合計258例の挿管を受けた小児が入室し、58例は除外された(人工呼吸器装着24時間未満)。全データが得られた小児は100例であった。人工呼吸器関連肺炎発生率は、1,000人工呼吸器日あたり5.6件であった。看護師主導による人工呼吸器関連肺炎サーベイランスプログラムの導入は成功であったことを報告する。しかし、本研究のデータ収集は看護師の作業負荷に依存しており、研究遂行にあたっては著しい時間的負担を要した。人工呼吸器関連肺炎発生率は比較的低いことが示されたが、自動化サーベイランスを利用する人工呼吸器関連肺炎バンドルが導入されつつある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
人工呼吸器関連肺炎の診断は難しく、教育システムと相まって本プログラムは注目に値する。
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