エビデンスに基づく医療を基礎とする入院患者における尿路感染症のリスク予測モデル:システマティックレビューおよびメタアナリシス
Risk prediction model of urinary tract infection in hospitalized patients based on evidence-based medicine: systematic review and meta-analysis J. Qing-yun*, L. Rong, W. Lin, Z. Qin, L. Yan, P. Zai-chun, X. Yun-juan, G. Dan-yang, L. Lele, J. Ping, Z. Xia, X. Tang *University of Electronic Science and Technology of China, China Journal of Hospital Infection (2026) 173, 279-293
背景
尿路感染症(UTI)は主要な院内感染症である。多数の UTI リスク予測モデルが開発されているが、それらの方法論的質、予測性能および臨床適用性は依然として不明である。本研究では、入院患者における UTI リスク予測モデルを系統的に評価した。
方法
このシステマティックレビューおよびメタアナリシスは PROSPERO に登録され(CRD420250643187)、PRISMA ガイドラインに準拠して実施された。10 件のデータベースを開始から 2025 年 3 月 10 日まで検索した。PROBAST ツールを用いて研究の質を評価した。メタアナリシスは Stata 14.0 および MedCalc ソフトウェアを用いて行った。
結果
患者合計 323,308 例と予測モデル 41 個を含む 34 件の研究を組み入れた。UTI 発生率の中央値は 18.6%であった。すべての研究が、バイアスリスクが高いと評価され、適用性は良好であった。統合曲線下面積(受信者動作特性曲線)は 0.849(95%信頼区間 0.823 ~ 0.875)であった。一貫した定義がある予測因子として、留置カテーテルの使用、カテーテル留置期間、糖尿病、女性であること、カテーテル留置の頻度、UTI の既往、手術前のカテーテル留置、低アルブミン血症および腎機能障害に、UTI との有意な関連が認められた(すべて P < 0.05)。
結論
入院患者の UTI に関する現在のリスク予測モデルは、中等度の識別正確度を示すが、方法論的質が低く、検証が不十分であるという限界がある。今後の研究では、厳密な前向きデザインを採用し、外的妥当性検証を強化し、モデル化戦略を最適化すべきである。
監訳者コメント:
入院患者の尿路感染症(UTI)予測モデル 34 研究・41 モデルをまとめたレビューで、全体として一定の予測力(AUC 0.849)が示された。尿道カテーテルの使用や留置期間、糖尿病、女性、UTI 既往、低アルブミン血症、腎機能障害などが主な関連因子であった。感染管理の現場で特に注目したいのは、カテーテルの使用と留置期間が、数少ない「介入できる因子」である点だ。留置適応を日々確認し、不要になれば早期抜去するという基本的なデバイス管理の重要性を改めて裏付ける結果といえる。一方、すべて後向き研究で、多くが中国の単施設研究であり、外部検証も 9 研究にとどまるため、予測モデルをそのまま日本の病院へ導入できる段階ではない。現時点では、スコアそのものより、示されたリスク因子を自施設のカテーテル管理やサーベイランスを見直す材料として活用するのが実践的である。
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