CArbapenem sparing antimicrobial stewardship(CASAS)プロジェクト:カルバペネム使用が少ない病院において消費量を減少させるための革新的方法★★
The CArbapenem sparing antimicrobial stewardship project: an innovative approach to reduce carbapenem consumption in low-users hospital settings M. Bongiovanni*, B. Barda, G. Barilaro, L. Elzi, C. di Benedetto, M. Mombelli, P. Bellini, N. Ramponi, G. Turicchi, P. Farè, N. Centemero, D. Destefani, A. Colombo, M. Bissig, E. Bernasconi *Ente Ospedaliero Cantonale, Switzerland Journal of Hospital Infection (2026) 172, 72-80
緒論
カルバペネム消費量のモニタリングおよび最適化は、抗菌薬適正使用支援プログラムの中心的な目的である。
方法
CArbapenem Sparing Antimicrobial Stewardship(CASAS)プロジェクトは、2024 年 1 月にスイス南部の公立病院 4 施設において実施された。同地域は、多剤耐性微生物および地域で流行していないカルバペネマーゼ産生微生物の存在率が低い。カルバペネム療法が 72 時間継続すると電子アラートが発せられ、治療の確認・中止・修正を行うための義務化感染症コンサルテーションが促された。治療が継続している間は、フォローアップコンサルテーションを 72 時間毎に繰り返した。収集したデータには、カルバペネムの種類および投与期間、経験的使用か対象を絞った使用か、微生物学的検査の結果、敗血症性ショック、集中治療室への入室、最近の入院、感染源、および多剤耐性微生物の保菌が含まれた。2023 年と 2024 年のカルバペネム消費量を、患者 100 人日当たり 1 日規定用量(DDD)および治療日数により比較した。
結果
2024 年にコンサルテーション計 1,213 回(ベースライン 682 回およびフォローアップ 531 回)を実施した。カルバペネムの経験的処方は 395 症例に対して行われていた。初回コンサルテーションにおいて、患者 162 例で治療が中止された。全体的に、カルバペネム消費量は 19.1%減少した(100 患者日当たり 2.05 DDD から 1.66 DDD に減少、P < 0.001)。治療継続期間の中央値は 2.7 日短縮した。その代わりに抗グラム陰性菌に対する抗菌薬の増加は認められなかった。
結論
CASAS プロジェクトにより、耐性出現率の低い病院においてカルバペネム使用の大幅かつ持続的な減少が認められた。感染症臨床ワークフローに組み込まれた、対象を絞った技術支援による抗菌薬適正使用支援介入は、拡張可能および適用可能なモデルであり、カルバペネム耐性の出現を予防する助けとなる可能性がある。
監訳者コメント:
カルバペネム開始 72 時間後の電子アラートと感染症専門医によるカルバペネム投与の再評価を組み合わせ、カルバペネム使用量を約 2 割削減した点は、AST 活動を個人の努力から「仕組み」に変える好例である。重要なのは、単なる使用制限ではなく、培養結果、感染部位、患者の病状の安定性を踏まえ、継続・中止・狭域化を処方医と協働して判断したことである。日本でも薬剤師、検査技師、感染症医、医療情報部門が連携し、72 時間レビューを自動抽出できれば実装可能であるが、使用量の低下だけでなく、再燃、死亡、再入院、耐性菌動向まで継続的に評価することを忘れてはならない。
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