婦人科超音波検査における衛生の実践を監視する:新しい手法★

2025.10.05

Monitoring hygiene practices in gynaecological ultrasound: a new approach

C. Duret*, S. Chevalier, S. Martin, R. Kosi Tuavuwa, O. Chanay
*Centre hospitalier de l’agglomération de Nevers, France

Journal of Hospital Infection (2025) 164, 72-80

背景

超音波検査は、婦人科や産科で不可欠であるけれども、不十分な衛生の実践が感染リスクとなる可能性がある。超音波検査と直接結びつく感染は稀であるが、不十分な消毒は微生物の伝播を容易にする。この研究では、新しい監査法を使って感染制御を向上させることを目的として、超音波検査での診察中における衛生の実践と汚染について評価している。

目的

婦人科超音波検査での診察中における衛生の実践を新しい監査の手法を使って評価すること、診察後に微生物による汚染を評価すること、およびプロトコールを最適化するために実践と汚染のレベルを相関させること。

方法

診察中に使用された衛生に関係する消耗品を記録し、現在のガイドラインに基づいた目標と比較した。診察後に微生物検体をプローブと表面から採取した。調査では、医療従事者の知識と認識を評価した。最初の監査の後、個別化した訓練を実施し、続いて対照の監査を実施した。

結果

最初の監査では、衛生において大きな隔たりが、特に、手指衛生とプローブの消毒に関して見られた。使用の指標は 100%未満であった。標的を絞った訓練の後、指標は目標の 120%を超えた。最初の汚染は、特に、腹部のプローブで高かった(cfu の中央値は、プローブで 15、表面で 29)。訓練後、汚染は有意に減少した(Kruskal–Wallis、P < 0.05)。検出された微生物叢には、グラム陽性球菌や、病原体、例えば、エンテロバクター・ホルメシェイ(Enterobacter hormaechei)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、Pseudomonas 属菌が含まれていた。

結論

この革新的な監査ツールは、観察者バイアスなしで衛生を効果的に評価できるので、優れた実践についての信頼できる指標となる。調査と組み合わせることで、客観的なデータがもたらされる。標的を絞った訓練によって、コンプライアンスが改善した。感染リスクを最小限にするためには、患者がかわるときに超音波のすべての構成要素(未使用のプローブを含む)を徹底的に消毒することが依然として不可欠である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

超音波プローブの消毒の実践に参考になる。

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