香港における抗菌薬耐性の状況と制御策:ワンヘルスの観点から★★

2025.08.14

Antimicrobial resistance situation and control measures in Hong Kong: from a One Health perspective

V.C-C. Cheng*, S-C. Wong, E.S-K. Ma, H. Chen, K.H-Y. Chiu, J.H-K. Chen, S.Y-C. So, D.C. Lung, P-L. Ho, K-Y. Yuen
*Queen Mary Hospital, Hong Kong Special Administrative Region of China

Journal of Hospital Infection (2025) 162, 174-185

多剤耐性菌は世界中の公衆衛生に重大な課題をもたらしており、特に、人口が密集し、高齢化が急速に進み、食料の 90%以上を輸入している香港では問題となる。本レビューでは、抗菌薬耐性と闘うために、ワンヘルスの枠組みの下で実施されている対象を絞ったサーベイランスおよび制御の取り組みを検討する。2010 年から 2023 年の間に、サーベイランスにより、検査したブタおよびニワトリにおける基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌(Escherichia coli)の保有率(それぞれ 51.5%および 86.3%)が明らかにされた。憂慮すべきことに、ブタにおけるカルバペネマーゼ産生大腸菌の検出が増加している(2017 年から 2023 年に< 5%から 19.2%)。その他の食料品については、ESBL 産生腸内細菌目細菌が刺身(11.5%)、寿司(4.8%)、すぐに食べられる(RTE)野菜(26.9%)、RTEカットフルーツ(5.6%)、蒸し煮料理(19.8%)およびロースト肉(2.4%)で検出された。食用動物における平均抗菌薬消費量は、2019 年から 2022 年にブタで 113.4 mg/kg target animal biomass(TAB)であった。病院および地域における抗菌薬消費量は、住民 1,000 人あたり 1 日あたりの規定 1 日投与量として表すと、新型コロナウイルス感染症パンデミック中に 20.4 から 13.8 に低下した後、徐々に戻り、2023 年には 17.1 であった。高齢者向け居住型介護施設では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)の保有率が 2005 年から 2021 年の間に 2.8%から 48.7%に急激に上昇したことにより、257 施設の高齢者向け居住型介護施設で試験的な MRSA 除菌プログラムが実施され、市中 MRSA 感染症(1,000 人・日あたり 3.526 から 2.632 に減少、P < 0.005)および MRSA 菌血症(1,000 人・日あたり 0.322 から 0.197 に減少、P = 0.025)が有意に減少した。これらの結果は、動物における ESBL およびカルバペネマーゼ産生大腸菌の制御、食品衛生措置の遵守、そして医療環境で MRSA 感染が持続する中での過密な人員不足の高齢者向け居住型介護施設または病院における感染制御の課題を浮き彫りにしている。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

日本における抗菌薬の食肉などに対する現況の輸入を考えると、こうした香港で実施している抗菌薬の輸入食材への使用状況を、さらに強化しモニタリングしたり耐性菌の状況について把握する必要があると考える。

※RTE:ready to eat = 手間を掛けずに使用(食することが)できる調理済み食品(あらかじめ準備してあり売れた時点で食べることが可能な食品)のこと。

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