医療環境のシンクにおけるシュードモナス(Pseudomonas)属菌の病原因子を理解するための微生物学的調査法

2024.09.03

A microbiological survey approach to understanding the virulence factors of Pseudomonas species in healthcare sinks

H. Rickard*, E. Cloutman-Green, L. Ciric
*University College London, UK

Journal of Hospital Infection (2024) 151, 84-91

背景

病院の水は、医療関連感染症(HCAI)の予防と拡大の両方に関与する。手洗いが病原体の伝播を減らすための鍵となるが、多数のアウトブレイクが、シンクや蛇口、シャワーの中の微生物に起因することが判明している。緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)およびますます多くの非緑膿菌シュードモナス(non-aeruginosa Pseudomonas)属菌が水系 HCAI を引き起こしているが、病院環境内に認められるシュードモナス属菌の潜在的病原性についてはほとんどわかっていない。

方法

グレート・オーモンド・ストリート病院において新たに開設された 2 つの病棟内で 62 カ所のシンクからスワブを採取した。患者占有がシンクの微生物に及ぼす影響を理解するために、病棟の利用開始前と開始後にサンプルを採取した。培養可能な細菌を MALDI-TOF により同定し、表現型に基づく方法により病原因子を評価した。

結果

合計 106 株の細菌分離株が回収され、そのうち 24 株がシュードモナス属菌分離株であった。MALDI-TOF により、このうち 25%が P. oleovorans、21%が緑膿菌、17%が P. composti、13%が P. alicalipha、8%が P. monteilii、4%が P. putida、4%が P. stutzeri と同定され、8%は属レベルでのみ同定可能であった。2 つの病棟間で、シュードモナス属菌分離株の数と病原因子産生の両方に差が認められ、全体で 25%のシュードモナス属菌分離株が色素を産生し、58%が溶血の能力を有し、87.5%が遊泳可能であり、83.3%が収縮運動の能力を有し、33.3%がアルカリプロテアーゼを産生し、8.3%がゼラチナーゼを産生した。

結論

以上の結果から、患者は保菌している微生物によってシンクを逆汚染している可能性があり、これが感染予防制御に持続的な影響を及ぼすことが示唆される。さらに、本研究では、非緑膿菌シュードモナス属菌が、通常は緑膿菌に関連する病原因子を産生する能力を有することが強調される。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

本論文の結果から見ても、非緑膿菌シュードモナス属菌が臨床の現場においてどのような感染症を引き起こすのかについて、さらなる『調査・研究』を行っていく必要があるだろう。

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