動脈カテーテル関連血流感染症:発生率、発症機序、リスク因子、および予防

2013.11.30

Arterial catheter-related bloodstream infection: incidence, pathogenesis, risk factors and prevention


N. Safdar*, J.C. O’Horo, D.G. Maki
*William S. Middleton Memorial Veterans Hospital, USA
Journal of Hospital Infection (2013) 85, 189-195
背景
動脈カテーテルは、重症患者の血行動態の管理および血液ガスのモニタリングに不可欠であるが、その感染症リスクについては十分に明らかにされていない。
目的
動脈カテーテル関連血流感染症(BSI)の発生率、発症機序、およびリスク因子を明らかにすること。
方法
1998 年から 2000 年に実施された 2 件の無作為化試験に参加した患者の動脈カテーテルを前向きに評価した。一方の試験は 1%クロルヘキシジン・75%アルコール溶液による血管内カテーテルのための皮膚消毒の効果、もう一方はクロルヘキシジン浸漬スポンジによるドレッシングの有効性を検討したものであり、いずれもカテーテル関連 BSI の予防効果を評価している。カテーテル抜去時に全症例を対象として、挿入部位の皮膚、カテーテルの部品、ハブ、および注入剤の定量的培養を行った。カテーテル関連 BSI の特定は、DNA の制限酵素切断片サブタイピングによるカテーテル分離株と血液培養分離株との一致に基づいて行った。動脈カテーテル関連 BSI のリスク因子を単変量解析を用いて特定した。
結果
対象とした動脈カテーテル 834 件(3,273 カテーテル日)のうち 109 件(13%)に保菌が認められ、11 件(1.3%、1,000 カテーテル日あたり 3.4 件)の菌血症を引き起こしていた。カテーテル関連 BSI の半数以上(63%)は、挿入部の皮膚から管腔外経路で獲得されたものであった。動脈カテーテル関連 BSI のリスクは、カフなし中心静脈カテーテル(CVC)の短期留置での報告(2.7%、1,000 CVC 日あたり 5.9 件)と同等であった。
結論
集中治療中の原因不明敗血症・菌血症患者では、動脈カテーテル関連 BSI の想定と除外も行う必要がある。最も頻度が高い経路は管腔外性であり、そのためクロルヘキシジンによる皮膚消毒やクロルヘキシジン浸漬ドレッシングなどの CVC による BSI を予防することが示されている新しい方法が、動脈カテーテルの場合にも有益であると考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら

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