小児および思春期児における緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)血流感染症:カルバペネム耐性と致死率に関連するリスク因子★
Pseudomonas aeruginosa bloodstream infections in children and adolescents: risk factors associated with carbapenem resistance and mortality N.E.G. Rodrıíguez*, D. Aguilera-Alonso, L. Escosa, M.R. Gómez-Gil, Á. Manzanares, M.G. Ascaso, A. Bermejo-Gómez, M.J.G. Abad, A.M. Ramos, A.S. Núñez, M.Á. Orellana, E. Cercenado, J.S. Lozano, C. Calvo, F. Baquero-Artigao, on behalf of the PA-BSI working group *Centro de Salud Canillejas, Spain Journal of Hospital Infection (2024) 149, 56-64
背景
緑膿菌血流感染症(BSI)は、重篤な疾患で、カルバペネム系への耐性が増加しているために、治療における難問となっている。我々の目的は、罹患率と、緑膿菌 BSI のある小児におけるカルバペネム耐性および致死率に関連するリスク因子を記述することであった。
方法
2010 年から 2020 年の期間の Madrid(スペイン)の 4 つの 3 次病院における緑膿菌 BSI のある 20 歳未満の患者を組み入れて、後向き多施設共同研究を実施した。カルバペネム耐性緑膿菌 BSI および 30 日死亡のリスク因子を、多変量ロジスティック回帰モデルで評価した。
結果
合計で、緑膿菌 BSI の患者 151 例が組み入れられた。年齢の中央値は生後 29 か月(四分位範囲、3.5 ~ 87.1)であった。45(29.8%)例がカルバペネム耐性で、9.9%が多剤耐性で、6.6%が超多剤耐性であった。研究期間を通してカルバペネム耐性率は安定したままで、カルバペネム耐性の26.7%(12/45)は VIM 型カルバペネマーゼを介するものであった。カルバペネム耐性緑膿菌が生み出した BSI の患者は、カルバペネム感受性緑膿菌が引き起こした BSI よりも、不適切な経験的治療を受ける可能性が高く(53.3%対 5.7%、P < 0.001)、カルバペネム耐性緑膿菌が以前定着していた可能性が高かった(8.9%対 0%、P = 0.002)。カルバペネム耐性は、過去 1 か月間におけるカルバペネムによる治療(補正オッズ比[aOR]11.15)、および固形臓器移植(aOR 7.64)と関連していた。30 日死亡率は、23.2%で、機械的換気(aOR 4.24)、敗血症(aOR 5.72)、不適切な経験的抗菌薬療法(aOR 5.86)と関連し、感染源のコントロールが保護因子として(aOR 0.16)と関連していた。
結論
この研究は、緑膿菌 BSI のある小児におけるカルバペネム耐性率が、高い死亡率につながることから、懸念されるものであることを示している。不適切な経験的治療と敗血症が、死亡率と関連していた。不適切な経験的治療のリスクの増加を伴う高いカルバペネム耐性率は、厳重に監視すべきである。
監訳者コメント :
カルバペネム耐性は緑膿菌に限らず、腸内細菌目細菌などの多くのグラム陰性桿菌においても等しく、世界的に憂慮すべき事態であり、医療分野に限らず、環境や農業,さらに畜産業・養殖業の分野でも重大な危機である。地球レベルでの対応が迫られており、世界保健機関が提唱する所謂「ワン・ヘルス」での対応が現在進行中である。細菌のカルバペネム系抗菌薬の耐性機序として、①外膜ポーリンの減少または欠損、②排出ポンプの活性上昇、③カルバペネマーゼ産生があり、最も厄介なのはカルバペネマーゼ産生である。小児での血流感染時の適切な治療薬の選択がカルバペネム耐性の有無により致死率に影響することが示され、経験的治要時の抗菌薬の選択が大きく予後を左右するため、抗菌薬投与歴、基礎疾患などの患者情報や過去の培養結果は治療薬選択上重要である。
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