カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌(CPE)に対する感染予防・制御方針の実行:医療従事者の横断的全国調査で知識のギャップがあることと、実践が最適ではないことが明らかになる★★
Infection prevention and control policy implementation for CPE: a cross-sectional national survey of healthcare workers reveals knowledge gaps and suboptimal practices A. Kearney*, H. Humphreys, D. Fitzgerald-Hughes *Royal College of Surgeons in Ireland University of Medicine and Health Sciences, Ireland Journal of Hospital Infection (2024) 145, 148-154
背景
2017 年、アイルランドは、カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌(CPE)の疫学の悪化に対する独特な対応の先駆者となり、全国的な公衆衛生上の緊急事態を宣言した。それに続いて、CPE低減ガイドラインおよび方針が、急性期病院で、患者のスクリーニングとアウトブレイクへの対処に重点を置いて、しばしば感染予防・制御(IPC)経験のある限られた医療従事者によって実行に移された。シンクや排水管からの CPE のリスクは、依然として、十分に制御されていない。
目的
CPE についての意識、CPE の伝播における環境の役割についての認識、臨床の手洗いシンクからの廃液の処分のやり方を、アイルランドの IPC 経験のある医療従事者と IPC 非経験の医療従事者で比較すること。
方法
2017 年から2022 年の間にアイルランドの急性期病院に雇用されていた医療従事者が、2022 年 12 月から2023 年 3 月の間に、30 個の質問から成るデジタル方式の調査に匿名での参加を招待された。
結果
回答(N = 283)が、いくつかの臨床分野から得られた。合計で、回答者の 21.6%は、IPC の役割で働いているか、以前に働いていて、その 84.1%は、IPC に関係した学習の必要性を報告しなかった。IPC 非経験の医療従事者と比べて、IPC 経験の医療従事者には、上水の配管設備(68.9%対39.2%、P < 0.001)や、排水/下水の配管設備(81.2%対 43.7%、P < 0.001)からの病原体の伝播のリスクを認識していた人が多かった。看護や医療スタッフで、臨床の手洗いシンクを廃液の処分に使っていたのは、IPC 経験の医療従事者では 5.6%のみであったのに対して、IPC非経験の医療従事者では 60%であった(P < 0.001)。IPC 経験の医療従事者では、IPC 非経験の医療従事者と比べて、同僚がルーチンに廃液(栄養製品、抗菌薬、患者の体液を含む)を臨床の手洗いシンクに捨てているのを目撃したことがあったと報告した人の割合が高かった(88.9%対 77.9%)。
結論
CPE を含む病原体の伝播における構築環境の役割についての一般的な意識はあるけれども、シンク/水に関係した伝播については、IPC 経験の医療従事者の方が、より精通していた。廃液の処分のやり方を、IPC 非経験の医療従事者を標的とした教育を通して改善する機会があるかもしれない。
監訳者コメント:
シンクや排水管などの湿性環境が CPE などのグラム耐性菌の伝播のリスクになるということは、感染管理・感染制御経験者には常識だが、一般の医療従事者にとってはそうとも限らないという一例。こういったギャップを教育を通じて改善していくことの重要性がわかる。
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