オランダの長期ケア施設における 2009 から 2019 年の医療関連感染の有病率★

2024.01.31

Prevalence of healthcare-associated infections in Dutch long-term care facilities from 2009 to 2019

K. Halonen*, T. van der Kooi, C. Hertogh, A. Haenen, S.C. de Greeff, on behalf of the SNIV study group
*National Institute for Public Health and the Environment, the Netherlands

Journal of Hospital Infection (2024) 143, 150-159



目的

我々は、オランダの長期療養施設(LTCF)の全国ネットワークにおける 2009 から 2019 年の医療関連感染(HCAI)の有病率の傾向と、それに関連する入居者および施設の特徴を評価した。

方法

参加している LTCF は、年 2 回の点有病率調査(PPS)で、標準化された定義を使い、尿路感染症(UTI)、下気道感染症(LRTI)、胃腸感染症(GI)、細菌性結膜炎、敗血症、皮膚感染症の有病率を記録した。それに加えて、入居者と LTCF の特徴を収集した。HCAI の有病率の経時的な変化を調べるためと、入居者および LTCF と関係するリスク因子を特定するために、マルチレベル解析を実施した。解析は、HCAI 全体についてと、UTI、下気道感染症、胃腸感染症をまとめたものについて実施した。UTI、LRTI、GI は、期間を通して記録されていたからである。

結果

全体で、1,353 件の HCAI が、44,551 人の入居者で登録され、有病率は、3.0%(95%信頼区間:2.8 ~ 3.1、年ごとの有病率の範囲 2.3 ~ 5.1%)であった。UTI、LRTI、GI のみを含めたとき、有病率は、2009 年の 5.0%から2019 年の 2.1%まで減少した。UTI、LRTI、GI をまとめたものについての多変量回帰分析では、参加が長くなることと、暦時間の両方が、独立して、HCAI の有病率と関連していたことが示された。4 年以上参加していた LTCF では、HCAI のリスクが、最初の 1 年間と比べて減少し(オッズ比[OR]0.72[0.57 ~ 0.92])、暦年当たりの OR は 0.93(0.88 ~ 0.97)であった。

結論

LTCF における 11 年間に亘る PPS で、HCAI の有病率は、徐々に減少した。参加が長くなることで、HCAI の有病率は、特に UTI で、更に減少した。LTCF 集団における加齢とそれに関連するフレイルにもかかわらずである。これは、サーベイランスには価値がある可能性を示している。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント


療養施設においてもサーベイランスへ長期参加することで、フィードバックによる医療関連感染の減少、感染予防対策の改善に寄与したことが示唆される。

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