多忙な救急部門における接触者追跡調査のためのリアルタイム位置情報システムの活用★
Harnessing a real-time location system for contact tracing in a busy emergency department A.H. Aung*, A.L. Li, W.M. Kyaw, R. Khanna, W-Y. Lim, H. Ang, A.L.P. Chow *Tan Tock Seng Hospital, Singapore Journal of Hospital Infection (2023) 141, 63-70
背景
新興感染症の脅威が持続するなか、デジタル接触者追跡調査ツールは、医療関連感染症の伝播予防のための従来の接触者追跡調査を向上できる。しかし、それらの性能は、救急部門のペースの速い環境において、まだ包括的に評価されていない。
目的
本研究では、新型コロナウイルス感染症パンデミック期間中に、多忙な救急部門1 カ所において、濃厚接触の継続的な直接観察(「ゴールドスタンダード」)に対し、無線周波数識別(RFID)ベースのリアルタイム位置情報システムによる接触者追跡調査の性能を、従来の電子医療記録のレビューと比較した。
方法
本横断研究は、2020 年 12 月から 2021 年 4 月に、シンガポールの大規模な 3 次病院 1 施設の救急部門 において実施した。リアルタイム位置情報システム、電子医療記録のレビューおよび 2 つの手法の併用(ハイブリッド接触者追跡調査)の接触者追跡調査の性能(感度、特異度、陽性的中率[PPV]、陰性的中率[NPV]、カッパ係数)を、直接観察と比較した。最後に、リアルタイム位置情報システムによって確認された各接触エピソードの時間と直接観察時間の平均絶対誤差を計算した。
結果
電子医療記録のレビューと比較すると、リアルタイム位置情報システムもハイブリッド接触者追跡調査法も感度が高く(0.955 対 0.455[電子医療記録のレビュー])、NPV も高かった(0.997 対 0.968[電子医療記録のレビュー])。リアルタイム位置情報システムは最も PPV が高かった(0.777 対 0.714[電子医療記録のレビュー]対 0.712[ハイブリッド接触者追跡調査法])。リアルタイム位置情報システムは直接観察と最も一致していた(カッパ係数=0.848)。80 回の直接観察の接触時間と、それぞれのリアルタイム位置情報システムの接触時間の間の平均絶対誤差は 1.81 分であった。
結論
リアルタイム位置情報システムは、電子医療記録のレビューによる従来の接触者追跡調査よりも有意に感度が高い、高性能の接触者追跡調査ツールであることが検証された。リアルタイム位置情報システムは、時間に余裕のない救急部門 において、新興感染症の医療関連伝播予防を目的とする時間的制約のある接触者追跡調査のために、自信を持って使用できる。
監訳者コメント:
シンガポールからの報告。本研究におけるリアルタイム位置情報システムのように新しいツールを感染対策に応用する試みが増えてきている。
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