多剤耐性病原体を保有する患者は自身の状態について十分に説明されていないと感じている:接触隔離の有害作用
Patients with multi-drug-resistant organisms feel inadequately informed about their status: adverse effects of contact isolation S. Gaube*, S. Däumling, I. Biebl, A. Rath, A. Caplunik-Pratsch, W. Schneider-Brachert *University Hospital Regensburg, Germany Journal of Hospital Infection (2023) 133, 89-94
背景
院内の感染予防策において多剤耐性病原体(MDRO)を保有する患者の接触隔離は、世界的にも重要な要素となっている。しかし、この実施は、患者の健康および良好な状態への有害な副作用と関連する可能性がある。
目的
本研究は、ドイツ人コホートの非隔離対照患者に対する隔離患者の精神的健康および良好な状態の変数を比較評価した最初のものである。
方法
ドイツの 3 次ケア教育病院に入院した患者 267 例においてマッチング症例対照研究を実施した。入院経験による不安、抑うつ、孤独感、不満のレベルを質問票を用いて評価した。さらに、隔離患者を対象に、MDRO による自身の状態についてどの程度十分に説明を受けていると思うかを評価した。
結果
本コホートにおいて、接触隔離下の患者は、非隔離対照患者よりも不満のレベルが有意に高かったが、不安、抑うつ、孤独感のレベルは高くなかった。大多数の患者が、MDRO による自身の状態について情報が不十分であると感じていた。隔離患者において、この情報不足は不満の最も強力な予測因子であった。
結論
これらの結果は、患者との適切なコミュニケーションの重要性を強調するものである。MDRO 感染症または保菌の背景と経過について、理解できる関連情報を適時受け取ることが、患者の良好な状態のために必要である。
監訳者コメント:
接触予防策の臨床的な意味付けが重要である。
十分に理解の得られるインフォームドコンセントにより効果的な予防策が実施可能となる。
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