救急部における SARS-CoV-2 の拡散を軽減するための建築レベルの介入

2024.09.03

Architectural interventions to mitigate the spread of SARS-CoV-2 in emergency departments

G. Hernandez-Mejia*, S. Scheithauer, S. Blaschke, N. Kucheryava, K. Schwarz, J. Moellmann, D.V. Tomori, A. Bartz, V.K. Jaeger, B. Lange, A. Kuhlmann, J. Holzhausen, A. Karch
*University of Münster, Germany

Journal of Hospital Infection (2024) 151, 1-10

緒言

救急部は、感染性微生物の病院内への極めて重要な侵入口である。本学際的研究では、救急部の典型的モデルにおける SARS-CoV-2 を例に用いて、感染予防・制御(IPC)目的の建築レベルの介入を実施することによって、新興呼吸器病原体の拡散がいかに軽減されるかを検討した。

方法

微生物に基づくアプローチを用いて、患者および医療従事者のルーチン行動、ならびに重要な救急部エリアの建築レベルの特徴に関するデータを統合した。患者と医療従事者間、ならびに患者間および医療従事者間における相互作用をモデル化することで、救急部における伝播件数を推定した。建築レベルの介入は、病原体保有者の段階的な分離、最小対人距離の遵守、および空中病原体の分散(換気回数の増加)に向けた指針とした。介入は、様々なエンドポイントに関するその軽減効果について疫学的に評価した。

結果

シミュレーションの結果から、救急部における換気回数の増加(ベースラインとの比較)により、感染症のわずかな軽減が得られた(発生率比[IRR]0.95、95%信頼区間[CI]0.93 ~ 0.98)。一方、全微生物数は、検討対象としたエリアにおいて部屋を分離した場合(IRR 0.78、95%CI 0.76 ~ 0.81)または救急部休憩室のサイズを大きくした場合(IRR 0.79、95%CI 0.78 ~ 0.81)に、より大きく減少した可能性が示唆された。SARS-CoV-2 に関連する院内伝播の減少は、建築レベルの介入を組み合わせた場合(IRR 0.61、95%CI 0.59 ~ 0.63)に最も大きかった。

結論

これらのモデル化の結果から、IPC 目的の建築レベルの介入の重要性が強調される。そうした介入は、新興病原体に関する深い知識とは無関係に、技術的、建築的および機能的要素に焦点を当てて考案することができる。今回の結果は、IPC 目的の建築レベルの介入を医療施設において最適に使用できるかについて、公衆衛生の意思決定者および病院建築者に対して情報を提供する可能性がある。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

この論文は、救急部門における SARS-CoV-2 の伝播を減少させるための建築的介入の効果を評価している。患者や医療従事者の動きや接触パターンをシミュレーションし、空間の分離、換気強化、部屋の拡張などが感染予防に寄与することを示した。これらの介入を組み合わせることで、院内感染リスクが大幅に低減できることがわかった。感染対策の専門職は、建築環境の改善が感染管理に及ぼす影響を再評価し、空間設計や換気の見直しを進めるとともに、設計段階から関わることも重要である。

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