Impact of ultraviolet light disinfection on reducing hospital-associated infections: a systematic review in healthcare environments

A. Maugeri*, B. Casini, E. Esposito, S. Bracaloni, M. Scarpaci, F. Patanè, G. Milazzo, A. Agodi, M. Barchitta
*University of Catania, Italy

Journal of Hospital Infection (2025) 159, 32-41

背景

病院関連感染（hospital-associated infection：HAI）は、医療制度にとって大きな負担である。紫外線消毒が、医療環境の汚染除去により HAI を減少させる可能性のある方法として浮上している。

目的

さまざまな病院環境において、HAI を減少させる紫外線の効果を評価した。

方法

PubMed、Web of Science および Scopusにおいて 2023年 7 月までの検索を行い、PRISMA（Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses）ガイドラインに従って文献のシステマティックレビューを行った。紫外線の HAI に対する効果を評価した、査読付きで発表された観察研究および実験研究を組み入れた。研究の特徴、紫外線の種類、感染のアウトカムに焦点を当てて、データを抽出した。環境汚染に焦点を当てた研究または十分なデータがない研究は除外した。

結果

25 件の研究が選択基準を満たした。紫外線の種類は、紫外線 C（UV-C）、パルスキセノン UV（PX-UV）、詳細不明の 紫外線であった。PX-UV については、いくつかの研究で感染率の低下が報告され、特に集中治療室などの高リスク区域において、クロストリジオイデス・ディフィシル（Clostridioides difficile）感染率の最大 70％の低下が示された研究もあったが、結果は環境によって異なり、有意な改善が認められなかった研究もあった。UV-C 消毒も HAI を減少させることが見出され、その効果は医療環境および対象病原体に応じて異なったが、その他の感染制御策と併用したときに最も効果が高い。

結論

紫外線消毒法は、特に包括的な感染予防策に組み込まれた場合に、HAI を減少させる可能性を示している。しかし、それらの効果は、用法、病原体の種類および医療環境によって異なる。紫外線消毒の実施を最適化し、多様な臨床環境におけるその費用対効果を評価するために、さらなる研究が必要である。

サマリー原文（英語）はこちら

監訳者コメント：

本レビューは、紫外線照射（UVL）による環境消毒が医療関連感染（HAI）の抑制に与える影響を検討した 25 件の研究を対象とする。PX-UV および UV-C は、いずれも Clostridioides difficile や多剤耐性菌（MRSA、VRE など）に対し感染率低下を報告しており、特に高リスク領域での有効性が示されている。PX-UV は即効性や照射対象の柔軟性に利点がある一方、効果には施設条件や運用体制によるばらつきがみられる。UV-C は比較的安定した成果が多く、既存の清掃手順と親和性が高い点から、導入・運用の実装性に優れるとされる。ただ現時点ではいずれの技術も、標準清掃の補完的手段として位置づけられるべきであり、今後は無作為化比較試験の蓄積、使用条件の標準化、費用対効果の検証を通じた実装指針の確立などが望まれる。

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^*King’s College London, UK
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 376-384

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