病院の COVID-19 伝播予防戦略の違い:韓国の全国調査結果★★

2022.11.12

Differences in strategies for prevention of COVID-19 transmission in hospitals: nationwide survey results from the Republic of Korea

W. Jang*, B. Kim, E.S. Kim, K-H. Song, S.M. Moon, M.J. Lee, J.Y. Park, J-Y. Kim, M.J. Shin, H. Lee, H.B. Kim
*Hanyang University College of Medicine, Republic of Korea

Journal of Hospital Infection (2022) 129, 22-30


背景

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する病院の感染制御策は、詳細なガイドラインが不足しているため、専門家の裁量に基づくことが多い。

 

目的

医療機関における現在の COVID-19 伝播予防戦略を調査すること。

 

方法

感染症専門家の議論を通じて、医療機関内の COVID-19 伝播予防に関連する 13 の重要な課題が選択され、政府のデータベースにおける全国レベルのガイドラインのレビュー後に関連する重要な疑問が得られた。これらの論題への回答を得るため、2020 年 8 月 11 日から 25 日の間に、病院 6 施設でオープン調査を実施した。これらのデータから開発されたオンライン質問票を、2021 年 1 月 31 日から 2 月 20 日の間に、韓国の病院 46 施設の感染制御チームに送付した。

 

結果

病院 46 施設すべてが本調査に回答した。全施設がスクリーニング診察室を運用していたが、89.1%(41/46)は COVID-19 関連症状のない症候性患者が一般外来診察室を受診するのを認めていた。大部分の病院(87.2%、34/39)は全入院患者に PCR 検査を実施していた。病院 46 施設中、入院患者に対する予防隔離方針を有する 35 施設(76.1%)のうち、31 施設(88.6%)は 1 回の PCR 検査陰性後に患者の隔離を解除した。一方、大部分(76.9%、20/26)は PCR 検査陽性の結果にもかかわらず、隔離解除に関する国の基準を満たす患者の相部屋を認めており、サイクル閾(しきい)(Ct)値を上回る場合としたのは 34.6%(9/26)であり、国の基準を満たした一定期間後としたのは 26.9%(7/26)であった。

 

結論

COVID-19 パンデミック中、韓国の個別の病院は関連するガイドラインを作成するため、現在のところ経験に頼っており、病院環境におけるいくつかの感染制御の課題に異なる回答をした。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

2021 年 2 月に実施された調査であり、オミクロン株流行以前であるため現在の対策とは異なっている可能性がある。当時の韓国ではカバーオール(つなぎ服)または長袖ガウンのいずれかを PPE として選択するように国のガイドラインでは推奨されていたが、多くの医療従事者はつなぎ服を着用していたようである。韓国国内でも施設毎に感染対策の方針が異なっており、日本国内でも同様に感染対策に違いがあると推測される。今後オミクロン株とは異なった感染力や病原性の異なった変異株の出現があっても、基本的な対策に大きな変化はないであろうが、隔離期間など一部変更が必要な状況も起こりうるであろう。

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