COVID-19の集中治療室における多剤耐性 OXA-48/CTX-M-15肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)のクラスター:COVID-19 パンデミック中の感染予防・制御に対する重要な教訓

2022.08.16

Multidrug-resistant OXA-48/CTX-M-15 Klebsiella pneumoniae cluster in a COVID-19 intensive care unit: salient lessons for infection prevention and control during the COVID-19 pandemic

A.R. Howard-Jones*, I. Sandaradura, R. Robinson, S.R. Orde, J. Iredell, A. Ginn, S. van Hal, J. Branley
*Nepean Hospital, Australia

Journal of Hospital Infection (2022) 126, 64-69

背景

集中治療室(ICU)を含め、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を看護する病棟では、他の患者と医療従事者に対して、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)の伝播を予防することに重点を置いている。

 

目的

COVID-19のICU 1 室におけるカルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌(CPE)のアウトブレイク 1 件について述べ、クラスターの迅速な終結を可能にする重要な感染制御策について考察すること。

 

方法

CPE は、COVID-19 を有する集中治療患者の臨床検体およびスクリーニングスワブ、ならびに環境スクリーニングから分離した。全ゲノムシークエンシング解析は、系統発生学的関係の情報提供に役立った。

 

結果

いずれも OXA-48、CTX-M-15 を保有し、ompK35/ompK36 に外膜ポーリン変異を有するカルバペネマーゼ産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)臨床分離株 7 株および環境分離株 1 株が、一塩基多型の違いが 1 カ所以下で同定され、同一クローンであることが示唆された。接触予防策と手指衛生の入念な遵守、多剤耐性病原体に対する週 2 回のスクリーニング、厳密な抗菌薬適正使用支援および清掃手順の強化を含む感染制御介入バンドルによって、アウトブレイクは迅速に終結した。

 

結論

個人防護具の長期使用は病棟入口での着脱とともに一般的であり、医療従事者は患者間での手指衛生実践を低下させがちになる。患者との接触が多い手技中でさえも、手指衛生を含む通常の接触予防策を入念に遵守することによって、SARS-CoV-2 以外の病原体の伝播を最小限にすることは、多剤耐性病原体のアウトブレイク予防に不可欠である。抗菌薬適正使用支援および多剤耐性病原体の適切なスクリーニングも、抗菌薬耐性率の中期的な上昇を防ぐため、急上昇期を通じて継続しなければならない。全ゲノムシークエンシングは、多剤耐性腸内細菌目細菌の調査戦略にとって非常に有益である。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

医療関連感染症や多剤耐性菌の水平伝播がコロナ病棟で増加する可能性があることは当初から指摘されており、また実際に報告も増えてきている。このような論文をもとに、手指衛生を中心とした標準予防策の重要性を訴えていく必要がある。

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