タスマニアの集中治療室の臨床サンプルにおけるアカントアメーバ(Acanthamoeba)属陽性率★

2014.03.31

Prevalence of Acanthamoeba spp. in Tasmanian intensive care clinical specimens


R.S. Bradbury*, L.P. French, L. Blizzard
*University of Tasmania, Australia
Journal of Hospital Infection (2014) 86, 178-181
背景
アカントアメーバ(Acanthamoeba)属は環境内に普遍的に存在する自由生活性アメーバであり、ヒトの角膜炎、肉芽腫性脳炎、皮膚病変、および全身性疾患などを引き起こすことがある。アカントアメーバ属は細菌の担体として働いているとされており、これによって医療関連肺炎の一般的な起因菌の多くが肺に侵入していると考えられる。アカントアメーバ属が集中治療室(ICU)の患者の肺炎や尿道カテーテルへの定着の主要な原因であることを示すエビデンスは限られている。
目的
ICU の患者の気道および尿路における自由生活性アメーバ定着の可能性について調査すること。
方法
Royal Hobart Hospital で 2011 年 8 月から 4.5 か月間にわたり、患者 45 例からのカテーテル尿 39 サンプル、気管内喀痰 50 サンプル、および一般病棟の喀痰 1 サンプル、ならびに ICU 環境内の 9 つの水サンプルを採取した。
結果
アカントアメーバ属が、単一の患者から 1 週間の間隔を置いて採取した喀痰 2 サンプルから培養により分離され、また PCR 法により検出された。ICU 環境からは培養によってのみ、アカントアメーバ属の分離株が 1 件検出された。
結論
ICU の患者の気道にアカントアメーバ属が定着することが確認された。このことは、ICU で治療を受ける患者の気道における病原細菌の感染源として、アカントアメーバ属が重要な役割を有する可能性を示している。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
自由生活アメーバであるアカントアメーバ属による角膜感染症は、ソフトコンタクトレンズ装着者において約 5 年前に大きな話題となった(薬食審査発 1216 第 1 号)。本病原体は特に水場に生息し、水道の蛇口の 7 割から検出されたとの報告もある。さらにこれらのアカントアメーバ属と細菌、特に緑膿菌、エンテロバクター菌、大腸菌、セラチア菌、肺炎球菌、クレブシエラ菌、レジオネラ菌などとの関連性が報告されている。また、MRSA の供給源の可能性も示唆されており、これらのアメーバ内に生存する細菌は、熱や消毒剤から保護され、バイフィルム形成に一部関与している。そのような背景のもとに、本論文では集中治療室に入室中の患者の気道へのアカントアメーバ属の定着が確認され、挿管チューブや尿路カテーテルへ定着することで、その後の難治性の肺炎や尿路感染症を発生させる可能性を警告している。

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