急性 COVID-19 患者の病室における SARS-CoV-2 による環境汚染★★

2022.08.16

Environmental SARS-CoV-2 contamination in hospital rooms of patients with acute COVID-19

S. Nagle*, Y. Tandjaoui-Lambiotte, M. Boubaya, G. Athenaïs, C. Alloui, C. Bloch-Queyrat, E. Carbonnelle, S. Brichler, Y. Cohen, J-R. Zahar, H. Delagrèverie
*Université Sorbonne Paris Nord, France

Journal of Hospital Infection (2022) 126, 116-122




目的

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)の伝播に関するデータは、いまだに一貫していない。空気感染については現在も議論がある。しかし、病院のリスク制御には、異なる伝播経路についてのよりよい理解が必要である。本研究は、急性期にある新型コロナウイルス感染症患者の病室における空気および表面の環境汚染の頻度、およびそれらの汚染に関連する因子について評価することを目的とした。

 

方法

連続患者 65 例を本研究に組み入れた。各患者について、病室の表面 7 カ所、患者の頭部から 1 m および 3 m にあたる空気、患者のマスクの内部表面、および医療従事者のマスクの外部表面からサンプルを採取した。環境汚染について、表面、空気およびマスクに対して定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-qPCR)により SARS-CoV-2 RNA の評価を行った。RT-qPCR においてサイクル閾値(Ct) ≦ 37で陽性であったサンプルについて、Vero 細胞に対するウイルス分離試験を実施した。

 

結果

RT-qPCR により、SARS-CoV-2 RNA が表面、空気、患者および医療従事者のマスクのそれぞれ 34%、12%、50% および 10%で検出された。Ct ≦ 37 で陽性であったサンプル 85 個のうち、培養により 2 個で感染性ウイルスが分離された。多変量解析により、患者のマスクにおける SARS-CoV-2 RT-qPCR 陽性結果のみが、表面汚染と有意に関連していることが分かった(オッズ比 5.79、95%信頼区間 1.31 ~ 25.67、P = 0.025)。

 

結論

本研究により、SARS-CoV-2 による表面汚染は、空気汚染やマスク汚染より高頻度であることが明らかになった。しかし、感染性のウイルスは稀であった。患者マスクの内部表面は、汚染リスクの高い患者を特定するマーカーとして利用できると考えられる。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

 フランスの大学病院で行われた単施設での報告。表面、空気、患者および医療従事者のマスクの SARS-CoV-2 の存在を RT-PCR だけでなく、ウイルス培養も行っているのが評価される。本研究の結果からは環境中から RT-PCR で一定数検出されるが、培養される感染性のウイルスは少なかった。また、感染経路は空気感染(エアロゾル感染)よりも飛沫感染や接触感染が主体であることが示唆されている。しかし、症状発症とサンプリングまでの間隔が中央値で 6 日と感染性の低い時期であることから、ウイルス排泄量の多い発症早期にエアーサンプリングできていない点には注意が必要である。また、従来株とアルファ株の結果であり、オミクロン株に対する続報も期待したい。

 

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