ブラジルの病院における病院獲得型新型コロナウイルス感染症(COVID-19)評価のための全国的サーベイランスシステム

2022.05.16

Nationwide surveillance system to evaluate hospital-acquired COVID-19 in Brazilian hospitals

M. Machado de Miranda Costa*, A.R. Guedes, M.D.S.P. Nogueira, L.S.C. Oliveira, L. de Souza Barros, M.R.S. Goncalves, A.A. Carvalho, H.L.C. Amaral de Moura, A.S. Levin, M.S. Oliveira
*Brazilian Health Regulatory Agency (ANVISA), Brazil

Journal of Hospital Infection (2022) 123, 23-26


背景

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス‐2(SARS-CoV-2)の院内伝播リスクは十分に認識されてきたが、その発生に関するデータは不足している。我々の目的は、ブラジルの病院における病院獲得型(HA)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生率を報告することであった。

 

方法

2020 年 8 月から 2021 年 9 月まで、全国的サーベイランスシステムのデータを用いて、ブラジルの病院における HA COVID-19 の発生率を調査した。HA COVID-19 の定義は、(1)入院後 14 日を超えて発症、加えて SARS-CoV-2 RNA 検査または抗原検査陽性、(2)入院後 8 ~ 14 日目に発症、加えて SARS-CoV-2 RNA 検査または抗原検査陽性、さらに高リスク曝露の記録あり、とした。記述的分析を行い、統合した平均値およびパーセンタイル分布を用いて、HA COVID-19 の発生率を報告した。

 

結果

病院 1,428 施設から計 48,634 症例の HA COVID-19 が報告された。発生率は、新生児集中治療室(ICU)の 1,000 患者日あたり 0.16 から、成人 ICU の 1,000 患者日あたり 5.8 まで幅があった。HA COVID-19 の発生率の最高値は、2021 年 3 月から 7 月までの間であり、市中獲得型 COVID-19 で認められたものと同様であった。

 

結論

本報告では、HA COVID-19 の負荷に関する全国的な概観を示している。HA COVID-19 の発生率の最高値は、市中獲得型 COVID-19 で認められたものと同様であった。このことは予防策の実行の難しさを反映していると考える。SARS-CoV-2 の病院伝播のリスク因子を評価するさらなる研究によって、HA COVID-19 のリスクを最小化するための戦略が明確になるはずであり、その他の呼吸器疾患に適用できる可能性がある。さらに、HA COVID-19 を評価する全国的なシステムの実行は、この問題に光を当て、各病院での介入をもたらす可能性がある。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

ブラジルでは COVID-19 の院内感染事例(入院後 14 日以上してから発症)の報告システムがあるという。標準的な頻度や割合は不明であるが、そこそこ発生しているな、という印象。こういうシステムを早期に構築するのも重要だと感じた。

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