死後処置業務に関連する生物学的危害に関する定性的研究:ガーナにおける展望

2022.04.20

Qualitative study on the biological hazards associated with mortuary work: the Ghanaian perspective

A.F. Dartey*, G. Dzansi, J.K. Akortiakumah, E.A. Asiamah, A.S. Raji, S. Osei
*University of Health and Allied Sciences, Ghana

Journal of Hospital Infection (2022) 122, 126-132




背景

職場の安全性および健康は、低リスクの環境を維持するために重要な公衆衛生上の関心事である。アフリカおよびガーナにおいて、遺体安置所の大部分は十分に設備が整っておらず、感染予防のための普遍的標準予防策に従ってもいない。結果として、死後処置に携わる担当者は彼らの健康および福利を脅かす多数の生物学的危害にさらされ、死体の処置をする際に感染症にかかることに対する懸念となりうる。

 

目的

ガーナの死後処置に携わる担当者が直面する生物学的危害について、3 つの選択された地域で調査すること。

 

方法

探索的・記述的デザインと共に定性的研究アプローチを用いた。死後処置に携わる担当者が直面する生物学的危害について調査するため、半構造化面接を実施した。意図的サンプリングを用い、19 人の参加者によって飽和に達した。

 

結果

死後処置に携わる担当者の多くは、体液との直接的な接触による感染症への曝露を報告した。さらに、汚染されている可能性があるシリンジと針への曝露、死体の取り扱いに関する普遍的標準予防策の非遵守、ならびに保管システムおよび職場環境の劣悪な条件は、感染リスクを増加させる。

 

結論および推奨

死後処置に携わる担当者は、ヒト免疫不全ウイルスおよびその他の血液媒介疾患のような生物学的危害に曝露されており、それによって担当者が業務を躊躇したり業務に対する集中に影響が及ぶ。本研究では、職場環境を改善するため、死体の完全性を保つ役割を果たす低温室、個人防護具、ならびに死後処置に携わる担当者に対して普遍的標準予防策に関する適切なトレーニングを、緊急に提供することを推奨する。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

ガーナにおける死後処置に携わる担当者の感染リスクを質的研究によって評価した論文。インタビューによる現状の描出が真に迫る。COVID-19 においても死後の遺族との対面が問題になっているが、質的研究による評価も可能ではないかと感じた。

 

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