集中治療室の最終消毒における短波長紫外線とエアロゾル化過酸化水素の効果の比較★★

2022.03.10

Effectiveness of ultraviolet-C vs aerosolized hydrogen peroxide in ICU terminal disinfection


S. Kelly*, D. Schnugh, T. Thomas
*Witwatersrand University, South Africa
 
Journal of Hospital Infection (2022) 121, 114-119

 

 

背景

米国疾病対策センター(CDC)によれば、2015 年に院内感染(HAI)患者の 10%が入院中に死亡した。したがって、HAI の有病率を下げることが極めて重要である。これを達成するための 1 つの戦略は、病院内で患者がいる病室の十分な消毒である。

 

目的

短波長紫外線(UV-C)室内消毒装置とエアロゾル化過酸化水素(aHP)室内消毒装置について、集中治療室(ICU)環境における選択した医療関連病原体およびその他の医療関連微生物の除菌における有効性を比較すること。

 

方法

2 つの消毒装置について、以下の微生物について検証した:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、カルバペネム耐性肺炎桿菌、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、多剤耐性アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)およびカンジダ・オーリス(Candida auris)。規定の密度で各微生物を塗布した培養プレートを、ICU 内の事前に選定した区域に置いた。各微生物について、平均殺菌率を算出した。さらに、ICU 内の接触頻度が高い 5 つの区域で、手動清掃の前、手動清掃の後、および各消毒装置の使用後にスワブ検体を採取し、それぞれの方法の有効性を比較した。

 

結果

UV-C 消毒装置により、照射の陰になった区域以外では平均で 96.75%の微生物減少が達成された。陰になった区域では、有効性が有意に低かった。aHP 消毒装置では、すべての区域について平均殺菌率 50.71%が達成された。スワブ検体の結果から、手動清掃を行った表面の 15%には依然として微生物量が認められ、これは非接触式消毒装置のいずれかを使用した後に除菌されたことが示された。

 

結論

本研究から、2種類の非接触式消毒装置の間で顕著な差があることが明らかになり、両者の有効性が示され、これらの消毒装置を手動の清掃レジメンと併せて組み込むことが勧められる。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

かつて環境消毒として広く紫外線照射が行われていたが、照射部位にしか効果がない、人体への誤照射で健康被害がでる可能性があることから、一般的には行われなくなってきていた。近年、照射範囲が改善された紫外線照射装置や蒸気化過酸化水素水発生装置が開発され、非接触式装置を使用した環境消毒が見直されている。いずれも高額な装置であるが、紫外線照射装置は非照射部位に効果は落ちるものの密閉性を保持する必要がなく、短時間で消毒が完了することから利便性が高く、日本でも普及していくであろう。

 

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