英国の医療従事者の抗体検査に関する認識と誤解:抗体スクリーニングの次のステップに対する影響
Healthcare staff perceptions and misconceptions regarding antibody testing in the United Kingdom: implications for the next steps for antibody screening
T. Robbins*, I. Kyrou, S. Laird, N. Morgan, N. Anderson, C. Imray, K. Patel, S. Sankar, H. Randeva, C. Jones
*University Hospitals Coventry & Warwickshire NHS Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2021) 111, 102-106
背景
医療従事者は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の曝露、感染および重篤な合併症のリスクが高い。抗体検査は以前に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス‐2(SARS-CoV-2)に感染したスタッフを特定するために用いられており、英国内で急速に広がっている。このような状況での抗体検査に関する懸念を提起する多数の意見および論説が発表されている。我々は国民保健サービス(NHS)の医療従事者の SARS-CoV-2 抗体検査に関する認識を示す。
方法
抗体検査の実行後に、SARS-CoV-2 抗体検査に対する認識に関する電子的調査を主要な NHS 3 次病院 1 施設のすべての医療従事者に配布した。
結果
計 560 名の医療従事者(女性 80%、黒人および少数民族のバックグラウンド 25%、最前線の臨床スタッフ 58%)が本調査を完了した。以前に COVID-19 に罹患していたかどうかを調査することが抗体検査を受ける選択をした一番の理由として報告された(85.2%)。もし抗体検査陽性の場合、72%は安心するだろうと報告した一方で、48%は患者と対面する場所でより喜んで働くだろうと感じた。さらに、12%は検査陽性は「ソーシャルディスタンスはそれほど重要ではない」ことを意味しうると回答し、回答者の 34%はこの場合 COVID-19 に感染する可能性は低く、またより喜んで友人または親戚を訪ねるだろうと述べた。
結論
NHS のスタッフは SARS-CoV-2 の抗体検査を主として適切な理由により求めている。我々の知見に基づき、また SARS-CoV-2 抗体検査陽性による免疫保護の程度に関する確定的データの不足を考慮すると、医療従事者の抗体検査陽性の結果に対する解釈の報告に関して大きな懸念が浮かび上がるかもしれない。NHS のスタッフおよび患者を保護するため、このことについてさらに調査し対処する必要がある。
監訳者コメント:
COVID-19 の抗体検査の意義についてどう感じているかを調査した研究で、発想が面白く、日本でも同様の研究ができるかもしれないし、抗体検査以外、例えば PCR 検査やゾーニング、濃厚接触者の定義など、COVID-19 に関連した事項に関する認識を調査するのも面白いだろう。
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