8 か国の小児施設の医療従事者における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体の横断的有病率

2021.04.30

Cross-sectional prevalence of SARS-CoV-2 antibodies in healthcare workers in paediatric facilities in eight countries

 

D. Goldblatt*, M. Johnson, O. Falup-Pecurariu, I. Ivaskeviciene, V. Spoulou, E. Tamm, M. Wagner, H.J. Zar, L. Bleotu, R. Ivaskevicius, I. Papadatou, P. Jõgi, J. Lischka, Z. Franckling-Smith, D. Isarova, L. Grandjean, D. Zavadska

*University College London, UK

 

Journal of Hospital Infection (2021) 110, 60-66

 

 

背景

医療従事者は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に不均衡に影響されているが、これは一つには院内曝露により引き起こされている可能性がある。医療従事者への曝露が主に院内の場合、COVID-19 患者がほとんど入院しない小児施設の医療従事者は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗体を持たず、最近の再流行におけるリスクが高まっている可能性がある。

 

目的

欧州 7 か国と南アフリカ(N = 8)の小児施設の医療従事者における SARS-CoV-2 の血清有病率を比較すること。

 

方法

以前の症状に関わらず、小児施設のすべてのカテゴリーの医療従事者が本試験への参加要請を受けた。血液サンプルを 1 回採取し、以前の症状に関するデータを記録した。血清は SARS-CoV-2 免疫グロブリン G の測定を行うロンドンの中央研究所に輸送された。

 

結果

2020 年 5 月 1 日から 7 月中旬の間に、医療従事者計 4,114 名が登録された。血清有病率の範囲は 0 から 16.93%であった。最も高い血清有病率はロンドン(16.93%)で確認され、次いで南アフリカのケープタウン(10.36%)であった。オーストリア人、エストニア人、ラトビア人のコホートには陽性の医療従事者はいなかった。リトアニアでは医療従事者 300 名中 2 名(0.66%、95%信頼区間[CI]0.18 ~ 2.4)が陽性となり、ルーマニアでは医療従事者 124 名中 1 名(0.81%、95%CI 0.14 ~4.3)が、ギリシャでは医療従事者 76 名中 1 名(1.3%、95%CI 0.23 ~ 7.0)が陽性となった。

 

結論

小児施設の医療従事者における全体的な血清有病率は各国の人口と同様であり、各国のCOVID-19 の蔓延と関連している。低蔓延国の小児施設で勤務しているスタッフの血清有病率は非常に低く、ゆえに COVID-19 に感染しやすい可能性がある。彼らの感染症に対する感受性は COVID-19 症例が増加する中で治療を行う能力に影響する可能性があり、このことは小児医療施設における適切な予防戦略の必要性を浮き彫りにしている。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

各国の医療従事者のSARS-CoV-2血清有病率がその国の感染流行状況を反映していることは大変に理解できるところである。本研究の対象である小児医療施設に限らず、医療従事者の感染予防は最前線の課題である。

 

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