ベルギーの教育病院の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を有する医療従事者における臨床的特性と液性免疫応答
Clinical characteristics and humoral immune response in healthcare workers with COVID-19 in a teaching hospital in Belgium
G. Vandercam*, A. Simon, A. Scohy, L. Belkhir, B. Kabamba, H. Rodriguez-Villalobos, J.C. Yombi
*Université Catholique de Louvain (UCLouvain), Belgium
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 713-720
背景
医療従事者は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染するリスクが高く、院内感染の一因となる可能性がある。2020 年 2 月 4 日以来、ベルギーの保健当局は 90,568 例を超える症例を報告し、そのうち 8.3%は医療従事者であった。COVID-19 を有する医療従事者の臨床的特性、感染源および液性免疫応答に関するデータは乏しいままである。
目的
COVID-19 を有する医療従事者において臨床的特性、液性免疫応答、汚染源および転帰を分析すること。
方法
本後向き研究は、ベルギーの教育病院 1 施設において検査で確定した COVID-19 の医療従事者 176 名を対象とした。2020 年 3 月 1 日から 5 月 31 日の間に、COVID-19 が疑われる症状を有するすべての医療従事者に対し、鼻咽頭スワブによる逆転写ポリメラーゼ連鎖反応検査を行った。症状発現後 55 日から 137 日の間に血清検査を行った。
結果
年齢中央値は 40.8 歳であり、75%が女性であった。症状発現から診断の間の遅延期間の中央値は 4.39 日であった。最も頻度の高い症状は咳と頭痛(いずれも 75%)であった。発熱は 68.7%を占めた。最も多い職業は看護師(42%)であった。医療従事者は主に患者との接触(32.9%)で感染し、7.6%は入院を要し 1.7%は集中治療室に収容された。残念ながら医療従事者 1 名(0.5%)が死亡した。総抗体は 126 名中 109 名(86.5%)で陽性であった。
結論
医療従事者における COVID-19 の臨床所見は一般集団と変わらない。しかし、転帰はより良好で、死亡率はベルギーの一般の COVID-19 患者での報告(16%)より低かった。主な感染源は病院環境であった。本研究での抗体陽性率は高かったが、以前の報告よりは低かった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
1. 感染契機は患者との接触が多いこと、2. 一般の予後よりも良いこと(おそらく年齢層が低いことが原因)、3. 抗体陽性率は 86.5%に留まったことなどが参考になる。なお抗体検査はロシュの Elecsys Anti SARS-CoV-2 が使用されている。
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