血液培養迅速診断検査後の薬剤師主導による抗菌薬適正使用支援ガイダンスの臨床的影響★★

2020.11.30

Clinical impact of pharmacist-directed antimicrobial stewardship guidance following blood culture rapid diagnostic testing
A.J. Mahrous*, A.K. Thabit, S. Elarabi, J. Fleisher
*St. Elizabeth’s Medical Center
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 436-446


背景
迅速診断検査は、臨床アウトカムの改善と関連することが示されている。
目的
菌血症患者における標的治療の達成を図るために、迅速診断検査と薬剤師主導の明確な抗菌薬適正使用支援プログラム(ASP)ガイダンスとの併用による臨床アウトカムを評価すること。
方法
今回の準実験的研究において、後向き(介入前)期間と前向き(介入後)期間を比較した。BacT/ALERT システムを用いて同定した血液培養陽性の成人患者を対象とした。VITEK 2 により細菌の同定および感受性試験を行った。介入後の期間に、抗菌薬選択を最適化するために Verigene システムによるASP ガイダンスを作成した。薬剤師は微生物検査室から結果を受け取り、その時点での治療(受けている場合)の適切性を評価し、適宜、推奨される抗菌薬治療を担当医に伝えた。
結果
コホートは、介入前群 164 例、介入後群 148 例であった。介入後の期間を介入前の期間と比較すると、培養同定までの時間の中央値は、それぞれ 22 時間、96 時間(P < 0.0001)、標的抗菌薬までの時間の中央値は 2 時間、22 時間(P < 0.0001)、抗菌薬の de-escalation までの時間の中央値は 12.2 時間、27 時間(P < 0.0001)、escalation までの時間の中央値は 1.3 時間、24 時間(P < 0.003)であった。院内死亡率および 30 日再入院率は、介入後群が有意に低かった(それぞれP < 0.003、P < 0.034)。入院期間は、介入後群が有意に短かった(6.5 日、8 日;P = 0.03)。
結論
菌血症の迅速な同定と同時に行うASP を基にした薬剤師の推奨は、最適な治療までの時間を有意に改善し、死亡や再入院のリスクを減らしたと考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
菌血症の進行は分単位で刻々と悪化する。適正な抗菌薬処方への至適化は、患者の生命予後を改善することになるため重要である。電子カルテの検査情報とモバイル端末を連動させるなどして、早期介入の院内インフラの整備が重要である。

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