病院環境における多剤耐性グラム陰性菌(MDR-GNB)獲得:基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌(ESBL-E)を対象としたシステマティックレビューおよびメタアナリシス

2020.11.30

Acquisition of MDR-GNB in hospital settings: a systematic review and meta-analysis focusing on ESBL-E
J. Vink*, J. Edgeworth, S.L. Bailey
*Kings College London and Guy’s & St Thomas’ NHS Foundation Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 419-428


緒言
基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌(ESBL-E)および他の多剤耐性グラム陰性菌(MDR-GNB)は、20 世紀後半に発見されてから世界的に蔓延している。これらの細菌の院内伝播を予防するために、さまざまな感染制御・予防策が実施されているが、その有効性はいまだに議論されている。近年、新たな文献が発表され、今後この問題に取り組む上で有効な対策を策定するために使用できるエビデンスが追加された。
方法
病院環境内での多剤耐性菌の保菌率と、その後のこの病原菌獲得に関して明らかにするためにシステマティックレビューを実施した。欧州と北米における ESBL-E の保菌率および獲得に関して明らかにするためにメタアナリシスを実施した。
結果
28 報の研究が選択基準を満たした。世界的にみて、MDR-GNB のうち保菌の頻度が高かったのは大腸菌(Escherichia coli)であった。ESBL-E の患者間伝播はまれであるが、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)の伝播の増加は大腸菌を上回ることが確認された。欧州および北米の医療環境における 8 報の研究のメタアナリシスでは、入院時の ESBL-E の統合保菌率は 7.91%、獲得率は 3.73%であった。
考察
入院時点での低保菌率および患者間伝播の不十分なエビデンスから、現行の欧州のガイドラインに沿ったサーベイランスによるユニバーサルスクリーニングや個室隔離などの感染予防・制御策は、院内での ESBL-E による全体的な負担を低減させるのに実際的または有効な介入となる可能性が低いことが示唆される。それよりむしろ、市中、主に長期ケア施設において、この病原菌や他の MDR-GNB の蔓延の制御のために対策を講じるべきであることを提唱する。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
ESBL の分離頻度は必ずしも真の保菌率をストレートに意味していないかもしれない。
保菌していても微量な場合は培養系で検出されずに、抗菌薬療法等を行った後に菌交代症として増殖し、検出されるようになる可能性もある。

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