マイクロ波および熱による N95 マスクの汚染除去:システマティックレビュー

2020.11.30

Microwave- and heat-based decontamination of N95 filtering facepiece respirators: a systematic review
S. Gertsman*, A. Agarwal, K. O’Hearn, R. Webster, A. Tsampalieros, N. Barrowman, M. Sampson, L. Sikora, E. Staykov, R. Ng, J. Gibson, T. Dinh, K. Agyei, G. Chamberlain, J.D. McNally
*CHEO Research Institute, Canada
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 536-553


背景
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のようなパンデミックでは個人防護具の不足がよく起こる。解決策の 1 つはマスクのような用具を再利用のために汚染除去することであろう。
目的
マイクロ波および熱による処理を用いた N95 マスクの汚染除去に関する既存の情報を、マスクの機能(エアロゾル透過率、通気抵抗)、密着性および物理的特性への影響に特に注意を払って収集・統合すること。
方法
Medline、Embase、Global Health および他の情報源より入手可能な文献のシステマティックレビュー(PROSPERO CRD42020177036)を実施した。記録は 2 名の評価者が独立してスクリーニングを行い、マイクロ波または熱による汚染除去が N95 マスクの性能、密着性、物理的特性および/または微生物量の減少に及ぼす影響に関して報告した研究からデータを抽出した。
結果
マイクロ波の乾燥または湿潤照射、熱または高圧蒸気滅菌を用いた 13 件の研究が含まれた。十分な期間(>マイクロ波 30 秒、>乾熱 60 分)適用した場合、全種類の処理が病原体の量を対数減少値で 3 以上減少させ、ほとんどの研究はウイルス性病原体を評価したものであった。
マスクの機能(エアロゾル透過率< 5%、通気抵抗< 25 mmH2O)は高圧蒸気滅菌を除くすべての処理の後も維持された。全種類の処理が 1 つ以上のモデルに目に見える物理的損傷を与えたものの、N95 モデルの大部分で密着性が維持された。
結論
マイクロ波照射および熱は N95 マスクの危機的な不足時の再利用において、安全で効果的なウイルス除去の選択肢である可能性がある。本エビデンスは高圧蒸気滅菌または 90°Cを超える高熱の手法を裏付けるものではない。物理的劣化は特定のモデルのマスクでは問題となる可能性があり、密着性に関するさらなる実臨床でのエビデンスが必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
N95 マスクの再利用におけるマイクロ波照射および熱の有効性に関するシステマティックレビューである。しかし当然ながらマスクの劣化の問題が大きいようである。

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