人工胃液中のノロウイルスの代用の表面での生存

2020.07.31

Survival of a norovirus surrogate on surfaces in synthetic gastric fluid
C. Makison Booth*, G. Frost
*HSE Science and Research Centre, UK
Journal of Hospital Infection (2020) 105, 468-473


背景
ノロウイルスは幅広い pH の緩衝液において生存できる。しかし、pH の変動が胃液の典型的な酵素的条件と組み合わさる場合、ノロウイルスの生存は予測しにくい。これに加えて、吐き出された嘔吐液が着地する素材(例えば安全ビニールまたはカーペット)も環境中のノロウイルスの生存レベルに影響する可能性がある。
目的
本研究はノロウイルスの代替のネコカリシウイルス(FCV)に関し、様々な pH の人工胃液の存在下で 4 種類の素材の上への散布後に生存を評価することを目的とした。
方法
FCV(1 × 106 プラーク形成単位[pfu]/胃液 100 μL)を含む様々な pH(1.5、2.5、3.5、4.5)の人工胃液 100 μL を 4 種類の素材(フォーマイカ、安全ビニール、綿布、カーペットタイル[2 cm × 2 cm])に播種し、回収前に 0、30、60 分放置し、プラークアッセイで生存ウイルスを同定した。
結果
FCV は pH が 2.5 と低い人工胃液において生存し、ある特定の素材と結び付く場合は pH が 1.5 と低くても 30 分以上生存することもあった。フォーマイカ(360 pfu/サンプル)と安全ビニール(380 pfu/サンプル)と比較して、より吸収性の高い素材である綿(1,900 pfu/サンプル)とカーペット(1,600 pfu/サンプル)から回収された生存ウイルス数の平均値はより大きかった。
結論
本研究により、FCV は pH が低い人工胃液において、特に吸収性の高い素材上でかなりの期間生存できることが示された。このことは、ノロウイルスのアウトブレイクの制御のために、効果的な清掃と汚染除去の方法、特に布地の室内装飾品と洗濯物に対する方法を確実にすることの重要性を強調している。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
フォーマイカは合成樹脂を意味する。これまでも、絨毯などの吸収性のある素材に嘔吐物が発生した場合の消毒の困難さは言われてきたところである。

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