日本の病院における大腸手術部位感染症の経済的負担の評価★★

2018.05.31

Evaluation of economic burden of colonic surgical site infection at a Japanese hospital


M. Ohno*, Y. Shimada, M. Satoh, Y. Kojima, K. Sakamoto, S. Hori
* SECOM Co. Ltd, Japan
Journal of Hospital Infection (2018) 99, 31-35
背景
欧州および米国において、手術部位感染症(SSI)に起因するとされる費用増大に関するいくつかの報告が発表されている。しかし、日本ではそのような研究は限られている。
目的
日本の病院における大腸 SSI の経済的負担を評価すること。
方法
本研究は日本の大学病院 1 施設で実施した。2014 年 11 月から 2016 年 3 月の間に下部消化管外科で大腸手術を受けた患者 265 例のうち、SSI を発症し、診断群分類コードを割り当てることのできた 16 例を、SSI 症例として選択した。個々の SSI 症例を、手術の種類、年齢層、性別、創分類、ストーマの有無、および SSI リスク指標に基づいて非 SSI 症例とマッチさせた。入院期間および出来高払い参照費用の中央値を、SSI エピソードと非 SSI エピソードで比較した。
結果
SSIを有する患者と有さない患者の入院期間の中央値は、それぞれ 25.5 日(四分位範囲[IQR]21.5 ~ 39.3)および 16.5日(IQR 12.5 ~ 18.5)であった(P < 0.01)。SSIを有する患者と有さない患者の出来高払い参照費用の中央値は、それぞれ842,155円(IQR 716,423 円 ~ 1,388,968 円)および575,795 円(IQR 529,638 円 ~ 680,105円)であった(P < 0.01)。
結論
SSI は、有意な入院期間の延長と経済的負担の増大をもたらした。SSI エピソードは非 SSI エピソードよりも利益になるようであるが、機会費用を考慮に入れた場合、観察期間中において SSI エピソードの経済的利益は非 SSI エピソードよりも少なかった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
日本の大学病院における手術部位感染症の費用を評価した論文である。日本の医療費支払制度に基づいた解析は、今後の我々の研究の指標となると思われる。

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