フィンランドの第 3 次病院における異なるタイプの手術後の血流感染症(2009 年から 2014 年)★

2018.05.31

Bloodstream infections following different types of surgery in a Finnish tertiary care hospital, 2009-2014


K. Skogberg*, K.S.K. Kontula, A. Järvinen, O. Lyytikäinen
* Helsinki University Central Hospital, Finland
Journal of Hospital Infection (2018) 99, 89-93
術後に生じた血流感染症(BSI)のリスクおよびアウトカムを評価した。国家的なサーベイランスの一環として 2009 年から 2014 年にヘルシンキ大学病院で経験した BSI を集計した。集積した BSI 711 例中、51%が 2 次、49%が 1 次であった。発生率は心血管手術後で最も高く(手術 1,000 件あたり 8.7 件)、婦人科の手術後で最も低かった(1,000 件あたり 1.0 件)。手術部位感染が 2 次 BSI で最もよくみられた感染源(34%)であり、1 次 BSI の 45%が中心静脈ライン関連であった。28 日時点の死亡率は、0%(婦人科/産科)から 21%(心血管手術)であった。手術部位感染関連の BSI に加えて、BSI の半数が 1 次であったことから、予防にさらに焦点をあてるという結果がもたらされた。
監訳者注:本論文では、1 次は「感染源がはっきりしない菌血症、真菌血症。ただし血管内カテーテル感染を含むもの」、2 次は「他の臓器にも感染症を認め、同じ病原微生物が検出されたもの」を指す。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
外科手術後に生じた BSI の感染巣に関する、興味深い報告である。ヘルシンキ大学病院は1,983 床で、外科各科を網羅し、人口 120 万人のヘルシンキ都市圏をカバーしている(フィンランド人口の約4分の1)。BSI 3,033件のうち、術後に生じた BSI はおよそ 3 割、1,000手術に 1.7 件であった。2 次の菌血症のうち、手術に関連したものがどの程度であるか詳細は明らかになっていないが、その成因ごとに予防策を講じ、減少させられれば、手術後の菌血症も減り、予後の改善にもつながるであろう。

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