液状、ゲル状および泡状の擦式アルコール製剤の有効性および乾燥時間の比較

2018.04.29

Comparison of the efficacy and drying times of liquid, gel and foam formats of alcohol-based hand rubs


M.A.C. Wilkinson*, K. Ormandy, C.R. Bradley, J. Hines
*Queen Elizabeth Hospital Birmingham, UK
Journal of Hospital Infection (2018) 98, 359-364
背景
イソプロパノールやエタノールなどのアルコールを含有する手指擦式製剤は、手指衛生の消毒用に広く用いられており、様々な形態(液状、ゲル状または泡状)で提供されている。
目的
これら 3 つの剤形において、イソプロパノールとエタノールという 2 つの活性成分の間に差があるかどうかを明らかにすること。さらに、乾燥時間の評価を行った。市販されていない 2 つの「標準」製剤を、各剤形について試験した:1つの製剤は60%イソプロパノール、もう 1 つの製剤は80%エタノールを含有している。
方法
EN 1500 試験をボランティア 20 例で実施し、有効性を評価した。標準参照製剤は、EN 1500(2013)の記載に従って、2 × 3 mL の 60%イソプロパノールとし、適用時間は 60 秒とした。試験製剤は 3 mL の液状、ゲル状または泡状の剤形とし、各製剤(60%イソプロパノールおよび80%エタノール)について完全な EN 1500 試験を 1 回実施した。乾燥時間を評価するため、液状、ゲル状または泡状の剤形について 2 種類の量(1.5 mL および 3.0 mL)を、ボランティア 15 例の手指に塗布した。ボランティアは自分の手指が乾燥したら自己報告し、試験終了時にボランティアに対して 3 点尺度([早すぎる][適切][遅すぎる])により乾燥までの時間を評価するよう指示した。
結果
本研究により、EN 1500 で評価したところ、2 つの「標準」擦式アルコール製剤に、製剤または剤形による抗菌効果の差は認められなかった。客観的な測定により、エタノールベースの製剤はイソプロパノールベースの製剤より乾燥時間が短く、両製剤ともゲルは他の剤形と比べて乾燥時間が長かった。使用者の認識による乾燥時間は、概ね客観的測定と一致していた。
結論
有効性に差はなく、乾燥時間に中等度の差しかなかったことから、一定の製品は要求された有効性および安全性の基準に合格するため、液状、ゲル状または泡状の擦式アルコール製剤は適切と考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
現在、日本でも速乾性手指消毒薬は液状、ゲル状、泡状のものがあり、施設によっては複数の剤形が導入されている。剤形により有効性に差がないことはこれまでにも報告されており、各人の使用感、手荒れなどにより選択されているのでは、と思われる。

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