新生児における中心ライン関連血流感染のリスクと留置期間

2017.11.30

Dwell time and risk of central-line-associated bloodstream infection in neonates


E. Sanderson*, K.T. Yeo, A.Y. Wang, I. Callander, B. Bajuk, S. Bolisetty, K. Lui for the NICUS Network
*University of New South Wales, Australia
Journal of Hospital Infection (2017) 97, 267-274
背景
ハイリスクの新生児で広く使用される、臍静脈カテーテル(umbilical venous catheters;UVC)または末梢挿入式中心静脈カテーテル(peripherally inserted central catheter;PICC)には、その後の中心ライン関連血流感染(central-line-associated bloodstream infection;CLABSI)のリスクが上昇する留置期間の閾値が存在する可能性がある。
目的
UVC、PICC、または両者を連続して挿入された新生児において、CLABSI のリスクを評価すること。
方法
地域の新生児集中治療室 10 室に入室し 2007 年から 2009 年の間に UVC または PICC を挿入された乳児 3,985 例を研究に含めた。このうち 1,392 例は UVC のみ(グループ 1)、1,317 例は PICC のみ(グループ 2)、1,276 例は UVC と PICC の両方(グループ 3)を挿入された。
結果
挿入された静脈カテーテル 6,000 本、合計 43,302 カテーテル・日において、403 件のCLABSI が発生した。CLABSI 発生率は、グループ 1(1,000 UVC・日あたり 3.3 件、在胎週数の中央値:37 週)およびグループ 2(1,000 PICC・日あたり 4.8 件、在胎週数の中央値:30 週)と比較して、在胎週数が最も短かったグループ 3 で高かった(1,000 UVC・日あたり 16.9 件、1,000 PICC・日あたり 12.5 件、在胎週数の中央値:28 週)。生命表および Kaplane-Meier 法によるハザード分析では、UVC CLABSI 発生率は段階的に増加し、10 日目には 1,000 UVC・日あたり 42 件に達した(発生率が最も高かったのはグループ 3 で、1,000 UVC・日あたり 85 件)。PICC CLABSI 発生率は、1,000 PICC・日あたり 12 ~ 20 件で推移し比較的一定していた。PICC と比較して、UVC は、留置期間を調整した補正 CLABSI リスクが高かった。グループ 3 では、4 日目より前の UVC の選択的な交換は、それ以降の交換よりも CLABSI リスクが低い傾向があるかもしれない。
結論
PICC 抜去のカットオフ値(その値を超えたら選択的に抜去すべきである留置期間)は認められなかった。4 日目より前の UVC の早期抜去と PICC への交換は考慮されるかもしれない。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
新生児領域の感染対策は専門性が高く、またエビデンスも集積されていないが、2011 年にCDC が出したカテーテル関連血流感染症のガイドラインでは臍帯カテーテルの項目が設けられ、無菌管理されている場合は 14 日まで使用できるとある。このような研究結果やガイドライン、各施設の状況にあわせて最適なマニュアルを作成していく必要があるだろう。

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