蛇口を肘で操作するか?観察研究

2017.08.31

Giving the tap the elbow? An observational study


M. Weinbren*, L. Bree, S. Sleigh, M. Griffiths
*Chesterfield Royal Hospital Foundation Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2017) 96, 328-330
背景
手指洗浄は、交差感染に対する最も重要な防御と見なされている。臨床環境の手指洗浄用洗面台の誤った使用法は、汚染水からの、あるいはコンタミネーション除去ができていない手指による交差感染をもたらす可能性がある。肘操作用蛇口は、正しく使用されれば手術時における手指の再汚染を予防する。多くの肘操作用蛇口は、正しく設置されておらず、フラッシュハンドルが後部パネルに水平に取り付けられていて、蛇口を肘で開くことが困難になっている。
目的
肘操作用蛇口のハンドルの角度を変えることが、手指洗浄技術に及ぼす影響を明らかにすること。
方法
2 つの部屋を用いて観察研究を行った。1 つの部屋では肘操作用蛇口のハンドルが後部の検査パネルに平行に取り付けられ、もう 1 つの部屋では肘操作用蛇口が検査パネルから 35 度の角度に設置された。
結果
35 名のスタッフが、両方の部屋で手指洗浄を行った。手指洗浄の 97%において、蛇口を開くために手指が用いられた。手指洗浄の 57%で、蛇口を閉める際に手指が再汚染された。6 名のスタッフのみが、蛇口を閉めるために常に肘を用いていた。驚いたことに、ハンドルが後部の検査パネルに平行に取り付けられている蛇口を操作する際に、より多くのスタッフが肘を用いた。
結論
肘操作用蛇口の正しい使用法をより強調する必要がある。肘操作式蛇口を使うか、自動センサー蛇口を使うかの決定は、どちらにも長所と短所があるため、明確にはできない。手指洗浄用洗面台についてデザインの改善および標準化を行う余地が大いにある。手指洗浄の重要性を考えると、こうしたギャップが存在することは驚きである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
肘操作式蛇口の評価を行った論文である。論文中には、肘操作式蛇口、自動センサー蛇口それぞれの長所・短所がまとめられており、興味深い。対策は、構造で対応すること、仕組みで対応すること、運用で対応することに分けることができるが、このような構造について数値で評価する取り組みは参考になると思われた。

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