ナーシングホームの病棟における手指衛生遵守:擦式アルコール製剤の利用しやすさの改善の影響
Hand hygiene compliance in nursing home wards: the effect of increased accessibility of alcohol-based hand rub A-M. Iversen*, M.B. Hansen, M. Münster, B. Kristensen, S. Ellermann-Eriksen *Aarhus University Hospital and Aarhus University, Denmark Journal of Hospital Infection (2024) 147, 206-212
背景
ナーシングホームの高齢居住者は、微生物による感染を起こしやすい。手指衛生は、もっとも重要な伝播予防策のひとつとみなされている。
目的
ナーシングホームの病棟における医療従事者の手指衛生遵守のモニタリングにより、擦式アルコール製剤の利用しやすさの改善の影響を明らかにすること。
方法
デンマークの 6 棟のナーシングホームにおいて 11 か月介入試験を実施した。自動手指衛生モニタリングシステムを用いてデータを収集した。ベースライン期間後に 150 の各区画に、追加の擦式アルコール製剤ディスペンサーを 1 個ずつ配置した。ベースラインの手指衛生遵守を、早期介入期間および長期介入期間の手指衛生遵守と比較した。
結果
医療従事者計 159 名を対象とした。自動手指衛生モニタリングシステムにより、341,078 回の手指衛生の機会が記録された。ベースラインの全体的な手指衛生遵守は 31%(95%信頼区間 30 ~ 32)であった。有意な早期絶対効果(最初の 5 か月)+ 18%(95%信頼区間[CI]17 ~ 19、P < 0.0001)および長期効果(その後 4 か月)+ 13%(95%CI 11 ~ 14、P < 0.0001)が記録された。日勤の医療従事者および短時間従業員は、夕刻/夜勤の医療従事者よりもベースラインの手指衛生遵守が高かった。しかし、夜勤の医療従事者は、平均+ 27%差を示す最大の長期効果を達成した(P < 0.0001)。
結論
長期的視野で、追加の擦式アルコール製剤ディスペンサーを職員のワークフロー内に配置することにより、医療従事者の手指衛生遵守が有意に向上し、顕著な効果が示された。本稿は、ナーシングホームにおいて単一介入としたディスペンサーの利用しやすさの改善の影響を報告し、まだ対処されていない大きな潜在的可能性を示した最初の研究である。
監訳者コメント:
このナーシングホームのように、一定の医療従事者の集団がどのような手指衛生活動を行っているのか、客観的にモニタリングすることによって改善が図れる。
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