Waterlowスコアによるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)関連疾患発症リスクを有する患者の予測

2009.03.31

Waterlow score to predict patients at risk of developing Clostridium difficile-associated disease


J. Tanner*, D. Khan, D. Anthony, J. Paton
*De Montfort University, Leicester, UK
Journal of Hospital Infection (2009) 71, 239-244
本研究では、患者がクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)関連疾患を発症するリスクを予測するための評価法の開発と検証について報告する。本研究は、評価法を開発すること、medical assessment unitで患者1,468例を対象として本評価法の妥当性を前向きに検証すること、および患者29,425例のデータを用いて外部で後向きに検証することの三段階からなる。第一段階では、受信者動作特性(ROC)解析により、C. difficile関連疾患に対する予測能を有するWaterlowスコアを特定した(曲線下面積0.827)。次に、medical assessment unitに入室した1,468例を対象として、Waterlowスコアを前向きに検証した。合計1,385例の患者(94%)はスコア<20、83例(6%)はスコア≧20であった。3か月の経過観察後にC. difficile関連疾患を発症したのは、低スコア群6例(0.4%)、高スコア群14例(17%)であった。C. difficile関連疾患発症のリスクを予測するWaterlowスコアの感度は70%、特異度は95%であった。外部の大規模患者データセットを対象に本スコアを後向きに検証したところ、同様の結果が得られた。Waterlowスコアは、患者のC. difficile関連疾患発症リスクを予測すると考えら、すべての症例を特定できたわけではないものの、C. difficile関連疾患の症例数が過度に多い小規模な患者群を明らかにすることができた。Waterlowスコアは、C. difficile関連疾患発症のリスクが最も高い患者群の特定に利用することができる。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
受信者動作特性(ROC)解析は臨床検査領域の精度管理によく用いられる手法である。ハイリスク患者が限定できたとしても、その患者における効果的な発症予防方法が見いだされない限り、多くの患者は必要とする治療を受けている限りリスク回避することが困難である。
監訳者注:
Medical assessment unit:一般開業医などから紹介を受けた患者に対して緊急検査や初期治療を行う病院部門

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