臨床現場における表面および用具の清浄度監査:誰が何を清掃しているのか?★

2011.07.30

Cleanliness audit of clinical surfaces and equipment: who cleans what?


R.E. Anderson*, V. Young, M. Stewart, C. Robertson, S.J. Dancer
*Hairmyres Hospital, UK
Journal of Hospital Infection (2011) 78, 178-181
現在のガイドラインは臨床設備の定期的な清掃を推奨している。外科部門における物品について、主な使用者、手指の接触頻度、清掃責任者、および有機物質汚染レベルを観察した。設備の清浄度を HygienaR ATP システムを用いて 3 回ずつ測定して、100 相対発光量(RLU)をベンチマークとして評価した。評価対象は 44 品目であり、このうち 21 品目は臨床補助員、5 品目はハウスキーピング担当者、3 品目は看護師、3 品目は医師が清掃を担当し、12 品目は清掃責任者が指定されていなかった。ハンドジェル容器、ベッドのコントローラ、血圧計のカフ、および診療録などの小型の設備の 100 cm2 あたり RLU の幾何平均は 60 ~ 550 であり、心電図装置、除細動器、カート、およびテーブルなどの大型の設備でも 80 ~ 540 とほぼ同様の数値であった。すべての表面における 100 cm2 あたり RLU の幾何平均は 249 で、84%の品目(44 品目中 37 品目)がベンチマーク 100 RLU を超えていた。医療従事者が清掃した 27 品目中 24 品目(89%)と清掃責任者が指定されていなかった 12 品目中 11 品目(92%)がベンチマークに到達しなかった。「清浄」な(100 cm2 あたり 100 RLU 未満) 7 品目中 3 品目はハウスキーピング担当者が清掃を行っていた。ハウスキーピング担当者が清掃した表面の平均 log10 RLU は、臨床補助員が清掃した表面と比較して 64%低かった(95%信頼区間 35% ~ 80%、P = 0.019)。結論として、臨床設備は、清掃責任者が指定されているか否かにかかわらず、高レベルの有機物質汚染が検出される頻度が高い。これらの知見から、清掃責任者を指定しつつ職員に対する教育を実施するとともに、臨床設備の清掃方法の評価を行う必要があることが示唆される。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
環境や器具の接触表面の汚染は医療関連感染症のリスクである。医療環境整備は看護業務の一部として取り扱われることが多いようであるが、病院清掃については担当者を明らかにして専門的に取り組まれる必要がある。
“整理・整頓・清掃・清潔・躾” による 5S 活動は、安全で作業効率のよい医療の提供に必須であるが、清掃は慣れた方へ任せることをお勧めしたい。

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