ベルギーで最もよくみられた分離されたクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)リボタイプの臨床的および検査上の特徴
Clinical and laboratory features of the most common Clostridium difficile ribotypes isolated in Belgium
F. Neely*, M-L. Lambert, J. Van Broeck, M. Delmée
*Scientific Institute of Public Health, Belgium
Journal of Hospital Infection (2017) 95, 394-399
背景
異なるリボタイプのクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症(CDI)を比較した先行研究は、相反する結果を示しており、多くは少数の症例またはリボタイプを比較したのみであった。
目的
異なるリボタイプによる CDI の患者およびエピソードの特徴を比較すること。
方法
ベルギーの 110 の病院で、2010 年 10 月から 2015 年 12 月までに収集された 3,333 の毒素産生性分離株に対して、リボタイピングを実施した結果を、全国 CDI サーベイランスデータベースの臨床データと対応させた。感染が 100件以上発生したリボタイプのデータを比較した。さらに、最もよくみられたリボタイプの各々について、ランダムに選択した 5つの培養分離株の毒素産生レベルを、国家リファレンス検査室で定量的に測定した。
結果
100 件を超えて発生したリボタイプは、R014、R020、R002、R078、R027、R005、およびR106 であった(Brazier の分類)。全患者の年齢の中央値は 79 歳であった(R027 感染患者では 83歳[P < 0.001]、R106 感染患者では 73歳[P < 0.001])。全体として、エピソードの 10%が再発であり、この割合は R027 および R106 で高かった(それぞれ 22%および 18%)。R078 による CDI が医療関連よりも市中獲得型である割合は統計学的に有意に高いとはいえなかった(24%対 28%、P = 0.1)。合併症は、全エピソードの 7%、R027 および R078 によるエピソードの 12%で発生した。しかし、年齢、院外での発症、および再発で調整後に、R027 と合併症の関連は消失し(オッズ比[OR]1.3、95%信頼区間[CI]0.7 ~ 2.4)、R078 では関連が認められた(OR 1.7、95%CI 1.0 ~ 2.6、P = 0.04)。糞便の毒素検査が陽性である割合、および培養分離株の毒素産生レベルが高かったのは、R078 および R027 であった。
結論
入院患者で最もよくみられた 7つのリボタイプのうち、R078 および R027 は、合併症の発生率が高かった。R027 および R106 による感染は、再発性である割合が高かった。糞便中の毒素の存在は R078、R027、および R106 で多く、in vitro での毒素産生レベルは R078 および R027 で最も高かった。R106 は in vitro での毒素産生レベルが最も低かった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
C.difficile(CD)には強毒性株が存在することが知られており、特にリボタイプ R027 および R078 が毒性が高いとされる。本研究ではベルギーにおいてもこの 2 種類の CD による感染症では合併症および再発率が高かったことが報告された。なお日本では R027 の分離頻度は低いことが報告されており、国や地域によって流行している CD が異なることが知られている。
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