カテーテル関連尿路感染症予防を目的とした多面的介入の評価★

2016.10.31

Assessment of a multi-modal intervention for the prevention of catheter-associated urinary tract infections


H.G. Ternavasio-de la Vega*, A. Barbosa Ventura, F. Castaño-Romero, F.D. Sauchelli, A. Prolo Acosta, F.J. Rodríguez Alcázar, A. Vicente Sánchez, E. Ruiz Antúnez, M. Marcos, J. Laso
*University Hospital of Salamanca, Spain
Journal of Hospital Infection (2016) 94, 175-181
背景
カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)は、重大な医療負担である。
目的
大学病院の内科診療科において尿道カテーテル使用の低減および CAUTI 発生率低減により転帰を改善することを目的とした、エビデンスに基づく多面的集学的介入の有効性を評価すること。
方法
トレーニングセッション、尿道カテーテル留置リマインダー、サーベイランスシステム、およびスタッフへの結果のフィードバックメカニズムを含む、多面的介入を開発した。尿道カテーテル使用および CAUTI の発生を、介入前の 3 か月間(P1)および介入実施期間(P2)に記録した。
結果
P2 期間中にカテーテル留置率が有意に低下した(27.8% 対 16.9%、相対リスク[RR]0.61、95%信頼区間[CI]0.57 ~ 0.65)。また、CAUTI リスクの低下(18.3 対 9.8%、RR 0.53、95%CI 0.30 ~ 0.93)、1,000 患者日あたり CAUTI 発生率の低下(5.5 対 2.8、発生率比[IR]0.52、95%CI 0.28~0.94)、および CAUTI の 1,000 カテーテル日あたり発生率の非有意な低下(19.3 対 16.9、IR 0.85、95%CI 0.46~1.55)も認められた。
結論
多面的介入は、カテーテル留置率および CAUTI 発生頻度の低下において効果的であった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント尿道カテーテルには、挿入 → 管理 → 抜去 → 再挿入の4つのライフサイクルがあり、なかでも挿入と抜去は CAUTI 発生予防には極めて重要である。また、CAUTI 減少のための「膀胱バンドル」は一般的に①尿道カテーテルの適応を遵守、②挿入手技を教育訓練、③不要なカテーテル留置の抑制または早期抜去の促進のための行動変容からなり、本論文ではさらに多くの介入策をとっている。①教育訓練:対象は看護師、看護助手を含む医療スタッフ、内容は介入前の状況報告、尿道カテーテルの適応と非適応、適切な挿入留置手技と抜去時期、検討内容と記録とリマインダー、②毎日の観察、③カテーテル挿入リストのリマインダー掲示、④尿道カテーテル適切管理のキャンペーン実施、⑤検討結果の報告からなる。この介入には、3 名の医師、4 名の研修医、3 名の看護師からなるチームで実施された。このような多面的介入は CAUTI 発生率低減につながる以外に、カテーテルの使用率低下が重要であるとともに、それに関与するスタッフの職種もその成否に影響すると考えられる。

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