基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌の保菌または感染の臨床予測モデル:システマティックレビュー

2019.05.10

Clinical prediction models for ESBL-Enterobacteriaceae colonization or infection: a systematic review


S. Mohd Sazlly Lim*, P.L. Wong, H. Sulaiman, N. Atiya, R. Hisham Shunmugam, S.M. Liew
*Universiti Putra Malaysia, Malaysia
Journal of Hospital Infection (2019) 102, 8-16
背景
特定のグラム陰性菌におけるβラクタマーゼ耐性は、死亡率、入院期間、入院費の増加と関連している。
目的
基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌科細菌の感染または保菌の既存の臨床予測モデルを特定し、厳密に評価すること。
方法
開始から 2018 年 4 月まで、電子データベース、参考文献一覧、引用文献を調査した。ESBL 産生腸内細菌科細菌の感染または保菌のリスクを予測するモデルとスコアの開発または検証、あるいはその両方が記載された文献を、言語を問わず抽出した。
結果
全体で 1,795 件の論文を抽出し、そのうち 4 件の論文をレビューの対象とした。含まれた研究は、異なる地理的地域で実施され、研究デザイン、選択基準、除外基準が異なっていた。すべてではないが、大部分の研究で、予測変数や転帰の評価において外部検証および評価者の盲検化がなされていなかった。すべての研究で、欠失データが除外され、大部分の研究では、欠失データのために除外した患者数が報告されていなかった。ESBL 産生腸内細菌科細菌の感染または保菌の 15 の予測因子が特定された。頻度の高い予測因子は、抗菌薬使用歴、入院歴、他の医療施設からの転院、手技(尿路カテーテル、侵襲的手技)の既往であった。
結論
研究デザインに限界とばらつきがあるため、臨床医は診療においてこの臨床予測モデルをいかに利用すべきか決める際、このような違いを考慮せざるを得ない。外部検証をしなかったことで、このモデルの一般化可能性は依然として課題である。したがって、意思決定の支援におけるこのモデルの有用性を確認するために、地域環境でのさらなる外部検証が必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
システマティックレビューを実施し、質の高い報告書をとりまとめるには個々の論文の研究デザインの妥当性が最も重要である。選択した論文の研究デザインの乖離が激しければ、分析の俎上に載せることが困難となり、分析結果も惨憺たるものになる。

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