英国の病院の環境条件を反映した抗菌性表面活性の有効性に関する新規 in vitro 試験法の評価

2013.12.31

Evaluation of new in vitro efficacy test for antimicrobial surface activity reflecting UK hospital conditions


M. Ojeil*, C. Jermann, J. Holah, S.P. Denyer, J.-Y. Maillard
*Cardiff University, UK
Journal of Hospital Infection (2013) 85, 274-281
背景
抗菌性表面は、微生物バイオバーデンの減少と衛生状態の改善を意図したものである。現在の抗菌性表面の有効性試験(ISO22196)は初期段階のスクリーニング試験であるが、その試験条件は高温(37℃)かつ相対湿度が高い(100%)ため、実際の使用条件との関連性が乏しい。
目的
実臨床に即した第二の試験法となり得る、実際の使用条件をシミュレートした抗菌性表面の有効性の試験法を開発すること。
方法
英国の病院で 1 年間にわたり表面の相対湿度、温度、および汚染を測定し、これによって病院環境の表面の有効性試験のための実臨床に即したパラメータを設定した。カスケードインパクターに接続したネブライザーを用いて黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の懸濁液をエアロゾル化し、試験素材である銅合金表面と対照素材であるステンレス表面に均一に噴霧した。実際の使用条件を反映する「20℃、相対湿度 50%」および「20℃、相対湿度 40%」のパラメータ設定で、噴霧後および種々の接触時間の後に細菌数を測定した。また、ISO22196 の試験条件を反映する「37℃、相対湿度 100%」による測定も実施した。
結果
調査したすべての条件下で、すべての銅合金において 24 時間後に 4 log10 を超える細菌数の減少が認められた。すべてではないがほとんどの銅合金で、4 log10 を超える殺菌を達成するためには実際の使用条件(「20℃、相対湿度 50%」および「20℃、相対湿度 40%」)では 60 分を要したが、「37℃、相対湿度 100%」の条件では 30 分後に同レベルの細菌数減少が示され、より高い効果が認められた。
結論
表面への細菌接種にネブライザーによる噴霧を使用したが、結果のばらつきはほとんどみられなかった。著者らの方法は ISO22196 による表面の殺菌活性の評価法よりも識別能が高く、この方法によって医療環境での使用が想定される抗菌性表面をより厳格に選択することができる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
実際の医療現場により近い条件下での抗菌表面の有効性を検討した論文である。私たちが知りたいのは「実際のところどうなのか?」なので、その視点からのアプローチは興味深いものであった。

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